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どん底スタートアップが、Uberを顧客にできたたった1つの方法

500 Startupsの投資先Aircallは、Slack、Chrome app、Zendeskなどのサービスに接続できる 次世代の電話サポートを提供しています。Aircallは、「ビジネスの拡大には、今でも電話が非常に有効である」という鉄則に基き、中小企業がビジネスを成長させたり、リピート客を獲得するのを支援しています。

同社は500 StartupsのアクセラレーションプログラムのBatch 14を卒業し、最近Funders Clubといった一流VCらからシードで275万ドルを調達しました。継続的に成長し、すでに充分な収益を上げるなど、順調にビジネスを展開しています。

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今回は創業者でCEOのOlivier Pailhes氏に、同社の最も大切にしている、ある一つの指標について話を伺いました。この指標こそが会社を成長させ、Uberを含む800社を顧客に持つことにつながったと言います。カスタマーサービス市場でスタートアップをしている方はもちろん、ほかの市場や業種にいる皆さんにとっても、さっそく実践したくなる指標ですので、ぜひご覧ください。

1. 重視すべき指標は何ですか

私たちが最も重視している指標は、MRRです。(MRRとは- VCが重視する、スタートアップアップの売上の見せ方)

サービスを使ってもらうことはなによりも重要なので、顧客ごとにそれぞれ異なるエンゲージメントを獲得し、異なる価格設定をしています。しかし最終的には、利用状況とエンゲージメントも測定できるにしていきたいと思っています。

2. その指標はどの位成長しましたか

MRRを毎月31%成長させ、3ヶ月で月間1万5300ドルだったものが3万4400ドルに、6ヶ月だと5万8500ドルにまでなりました。

3. なぜ一貫して毎月31%のペースで成長していたのですか

売り上げの成長率を31%に振り分けて設定したので、毎月正確に同じ分だけ売り上げていくことができました。過不足なく刻めるようあえて設定したので、ある意味ペテン師かもしれません(笑)。

営業の人たちは極端なまでに目標達成を中心に考えます。営業に設定目標と正しいインセンティブを示すと、たとえ大晦日の夜やクリスマスの夜であっても目標を達成しようとします。(私たちチームのユダヤ人の営業マンは、実際にクリスマスに厳しい目標を達成しました)

月末に目標を下回るようなら、目標達成のために狂ったように働きます。毎週の売上総額をご覧になっていただくと整合性がないように見えますが、しかし月間目標をきちんと設定すれば綺麗にまとまるのです。

4.営業チームのために設定したインセンティブ構造とはどのようなものですか

私たちが今現在実施しているインセンティブは、6ヶ月前とは異なりますし、さらに6ヶ月後にも変わっていると思います。

現在はチームに対しボーナスを与える仕組みにしています。これはめずらしいインセンティブですが、ハードワークに貢献しています。チームとして目標を達成することに、皆賛成しています。

実際の数字を示すと、2015年の12月の目標は売上6万ドルでした。これを達成すると、ボーナスとしてチームに5000ドルを現金で還元しました。私たちのチームは5人なので、1人当たり1000ドルもらえるというわけです。私たちの次の目標は、売上10万ドルです。もし2月末に達成できれば、短期間での急成長を讃え、チーム全体に1万ドルを与える予定です。

さらに営業だけではなく、技術チームにもボーナスがあります。売上目標を達成した際には、ビジネスチームがエンジニアなどの技術チームを豪華なディナーに招待します。

これが今の会社規模、会社のステージで私たちが行っていることです。非常に些細な取り組みですが、今のような小さなチームにおいては機能しています。ノルマを達成することで、チームのスピリットも形成できています。

5.他に、成長に貢献した要因はありますか

業種を厳選して行う、アウトバウンドのキャンペーンは、良いインバウンドのリードをたくさんもたらしてくれました。特にZendeskやSlackとのインテグレーションを構築したことで、それまで以上に急速に物事が動き始めました。(500 StartupsのSusanのメールマーケティング術のおかげです!)

今月は、リードの80%がインバウンドによるものでした。これは素晴らしいことですが、更に嬉しいことに、これらのリードのうち、30%が有料課金ユーザーへとコンバージョンしたのです。

6. 成約率30% はとてもすごいことですが、なぜ可能なのでしょうか。どのように達成するのですか

Uberとの間の出来事をご説明するのが、わかりやすいでしょう。
その時は営業時間外でしたが、Uberからのサインアップがあったことに気付きました。「冗談だろ?」と思っていましたが、Uber.comのメールアドレスからだとわかりました。
通常、最大2時間以内、大体1時間以内に電話をかけるようにしていますが、Uberの時はサインアップから20分以内に電話をしました。

彼らもその迅速な対応に感激してくれて、私達もプロダクトに満足しているか聞くことができました。ちょうど午後9時だったので、素晴らしいカスタマーサポートだと驚いていました。
これはUberのような大企業に限ったことではありません。私達はプライドを持ってやっていますから、この対応を全てのクライアントにできるよう拡大します。いわゆる、イケてる”HACK”ではありませんがが、私達にはとても合っているのです。

7.逆に挑戦したけど無残にも失敗した試みはありますか

リード獲得とエンゲージメントを目的に、潜在顧客へのブログインタビューを行い、間接的に自社プロダクトを訴求しようとしたことです。

500 DistroNemo(500 Startupsのグロースマーケター)に会った際に、「アウトバウンドのキャンペーンをやっているんだけど、まだコンバージョンレートが1%(この当時)くらいしかなくて。」と話しました。するとNemoは「そんなやり方は長くは続けられないよ。潜在顧客にブログインタビューをさせてもらえないか提案して、インバウンドを作ると同時に、彼らと合う機会を作って、その際に私たちのプロダクトについて語ろう!」と言いました。

250ものブログインタビューをやり終えましたが、そこでようやく自分たちのスタイルには合っていないことに気づいたのです。Nemoや彼のようにスマートな人のためのやり方だって。私たちは4人(内2人はインターン)のチームで、インタビューを行うことはできても、そこから先に進むのはとても困難な状況だったのです。

Nemoは様々なタイプの人に話し、コンバートさせることで自身のコンセプトが正しいのかきちんと検証していましたが、その時の会話を録音したものを聞き直すと、とても魅力的でワクワクするものでした。しかし、私たちには経験がなかったもので、合わなかったのだと気が付きました。
この出来事からの重要な学びは、「強みを活かせ。与えられた戦略を実際に実行できるスキルがないことに気付け。」ということです。私達の場合には、悪いのは”自分自身”だったでしょう。しかし、それを個人的なこととして捉えてはいけません。これこそまさに受け入れて、行動をはじめるべきだと示している事実なのです。

8. 次のゴールは?

中小企業の顧客からより大きな企業の顧客へと移っていくことと、顧客との関係をより良いものにしていきたいと考えています。そのためにまず、現在の10社を30-50社にまで増やし、エンタープライズレベルの顧客が欲しがるような、プロダクトや独自性を創造を目指しています。今月は560のサインアップがあり、そのうちの80%がインバウンドで、30%が有料課金登録をしました。4ヶ月前ではこの半分しかありませんでしたから、非常に大きな部分を500 Startupsのアクセラレーターと共に行ってきました。

500 Startupsはグロースサイドが最大の強みでしょう。これまで申し上げてきた通り、Nemoは私たちにとってはスマートすぎました。毎週彼に会うたびに、嫌な気持ちになり、自分たちの馬鹿さと構造化できていないことを実感していました。しかしそれは今でもとても役にたっています。

あたかも、専属のグロースマーケターの専門家を持てたかのようでした。アクセラレーターに参加したことは、確かにベストな決断でしたし、会社を成長させることを今も非常に楽しんでいます。

原文記事

Miyako Yoshizawa

慶應義塾大学看護医療学部4年。ベンチャーキャピタルや外資系証券会社の証券リサーチ部でIT市場のリサーチを経験した後、大学での専門を生かし、ヘルスケアITに注目。米国のヘルステック系スタートアップについて取り上げるサイト「HealthTech News」を2013年に立ち上げる。

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