SaaS Trial

SaaSビジネスで、トライアルキャンペーンを成功させるための6つの手法《前編》

このポストは、マーケティング支援SaaSのAutopilotでCMOを務めるGuy Marion氏が、Nail Your SaaS Trial ebookで書いた記事を一部直して投稿したものです。Nail Your SaaS Trial ebookは、Autopilotが発行している、無料トライアルから課金に繋げるための方法を記した無料の電子書籍です。


投資家やアドバイザー、コミュニティから、どのようにしてプロダクトがうまくいくのか尋ねられた際、きっとあなたはトライアルからの非常に優れた本登録率や、口コミが次々と広がっていく様子や、ユーザーが本登録するときの熱狂的なつぶやきなどで彼らの気を引きたいと考えるでしょう。

良い例

初めてプロダクトを触るユーザーに対して、分かりやすい導入があるだけでも、「あなたのプロダクトには素晴らしいポテンシャルがある」と熱心で明確なフィードバックをくれるでしょう。

悪い例

SaaSのトライアルキャンペーンを開始し、最適化しながら様々なことを学んだ後、私は効果の高い*オンボーディング体験を作り上げるには、方程式があることに気づきました。その1つは教育で、ユーザーがより早くプロダクトを使いこなせるようにしましょう。また、あらかじめ顧客体験に相応しいトーンを設定しましょう。

* ユーザーがいち早く使い方に慣れて習慣的に利用できるよう導くための機能やコンテンツおよびそのようなプロセスのことをオンボーディングという。チュートリアルやガイドツアーなどの手法がよく用いられる。

それでは実際に、トライアルを成功させる6つの方法を見ていきましょう。

ステップ(1) トライアルにおける、コンバージョンのゴール設定をする

トライアルキャンペーンを実施することで、何を達成しようとしていますか? また、実際に行ったトライアルが、上手く達成できたかどうか、どのように判断しますか? アクティベーション率やコホートごとのコンバージョン率、ユーザーあたりの平均収益(ARPU)の3つは、最も重要な指標なので、追跡する必要があります。

アクティベーション率
トライアルユーザーのうち、アプリ上で重要な行動を実際に完了した割合を示しています。つまり、アハ体験をし(ひらめい)た瞬間ということになります。重要な行動とは、トラッキングピクセルの追加や、新しいユーザーの招待、サードパーティのアプリへの統合などです(詳しくは下記のステップ2を参照)。実際にアクティベートしたトライアルユーザーは、あなたにとって最も貴重なユーザーの1人となるでしょう。

コンバージョン率
有料顧客になった新しいトライアルユーザーの割合のことです。トライアルが始まった日に戻って、(その)売上に関連したコホート単位で評価するべきでしょう。私の経験によれば、一般的な通常のトライアル登録から、課金ユーザーへのコンバージョン率のベンチマークは以下のとおりです:

  • 標準:7%〜10%
  • まあまあ良い:10%から15%
  • 非常に良い:15%以上

15%以上を達成できたら、Zendeskと同じ水準になったと言えます。Zendeskのような会社がすでに存在するのは事実ですが、このような水準までコンバージョン率を高めるのにはとても時間がかかります。

平均売上単価 (ASP)
平均売上単価(ASP: ユーザー1人あたり平均収益・ARPUとほぼ同義で使われています)とは、それぞれの新規顧客が支払う平均収益であり、シンプルに新規収益を一定期間内の新規顧客の課金数で割ったものです。

ステップ(2) カスタマーサクセスに必要な、ユーザーの重要な行動を正確に定義する

ユーザーがあなたのSaaSを使って彼らの問題を解決することを真剣に考えている場合に、ユーザーが実行する必要があるアクティビティを明確にしましょう。 トライアルのアクティベーションを定義する一般的な方法はいくつかあります。

  • 1つまたは複数のアクションを完了:ファイルの共有、ユーザーの招待、トラッキングピクセルの追加、またはマーケティングジャーニーの公開(訳注:著者がCMOを務めるAutopilotの場合の例で、ユーザーがプロダクトをどのように使い始め、継続顧客になっていく時にどのような経緯を辿るかを図示したもの)など。
  • 使用状況において、一定のしきい値を超える:作成されたプロジェクト数、アップロードされた写真数、コミットされたコード数。これは製品の機能によって異なります。
  • ログイン頻度または期間:ユーザーは過去7、14、30日間に10回以上ログインしているか、またはセッション中に◯分以上滞在しているか
  • プロダクト外のイベント:技術の専門家によるアカウント設定を行ったか、アカウントマネージャーによるクイックスタートコールを行ったか、カスタマーサクセスマネージャーによるユーザートレーニングを行ったかなど

専門家のヒント⇒SaaSアプリケーションのHint Healthの場合、下記のように、使用状況に基づいて自動メッセージを表示しています。

ステップ(3) アクティベーションへの誘導について精密な計画を立てる

無料トライアルのユーザーはあなたの製品を使い、課題を解決する方法を学んでいる時、レッドカーペットのような手厚い歓迎を受けているように感じるでしょう。彼らは有料課金へのリマインドにすら感謝しているので、それが原因でアカウントのアクティビティを中断することはありません。

ではこのリマインドをどのように戦略的に、適切に行えばよいのでしょうか?

誘導です。適切なタイミングで人を誘導することは、ユーザーが(課金という)ハードルや立ち往生してしまうのを防ぎ、決断し、課金しやすくなるのに役立つでしょう。


この実際の事例は、後編のステップ(5)を参考にしてください。

続きのステップ(4)からは次回の後半でご紹介します。アップデートを見逃さないよう、500 Startups Japanのページをフォローして、最新情報を受け取ってください!

 

 

 

 

Miyako Yoshizawa

慶應義塾大学看護医療学部4年。ベンチャーキャピタルや外資系証券会社の証券リサーチ部でIT市場のリサーチを経験した後、大学での専門を生かし、ヘルスケアITに注目。米国のヘルステック系スタートアップについて取り上げるサイト「HealthTech News」を2013年に立ち上げる。

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