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VCが重視する、スタートアップの売上の見せ方

「収益」とはあらゆるビジネスにとって欠かせない要素ですが、しばしばいろんな意味合いでその単語を使いがちでもあります。私達VCは莫大な収益について話したいと思っていますが、一口に収益といっても同じではありません。あなたのビジネスにとって本当に重要なものを理解している必要があります。

実際に収益が示すものをニュアンスを含めて、明確にしましょう。

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GMV / GTV

収益は企業が扱う、あらゆるお金という意味でしょうか。いいえ、違います。多くの企業がトランザクションを促進し、プラットフォームを通して資金を動かしていますが、それは収益ではありません。ユーザーによりトランザクションが機能しても、必ずしもそれらが収益となるわけではありません。

このようなトランザクションはGMV(Gross Merchandise Value:総流通総額) や、GTV(Gross Transaction Value:総取引額)と呼ばれ、プラットフォームで取引される総額として扱われます。基本的にこの総額は、ユーザーによってある特定の期間に費やされる額です。

GMVは、Airbnbのようなマーケットプレイスでしばしば用いられます。Airbnbの場合、GMVはユーザーが支払った予約の値段で、収益はトランザクションに対する手数料です。決済プラットフォームのiZettleの場合では、GTVは処理した金額全体のことを示していて、収益は処理した金額に対する手数料である数パーセントのことです。いうまでもなく、初心者のように収益とGMVやGTVを間違ってはいけません。

MRR / ARR

経常収益(Recurring Revenue)とは、企業の営業活動によって毎期に経常的・反復的に生じる収益のことです。特に経常収益はSaaSの会社によく見られることです。予測がつきやすく、一定の積み重ねが期待できることから、金融市場で評価されやすい指標です。

経常収益はしばしば期間単位で用いられます。MRR(Monthly Recurring Revenue:月間経常収益)は月間の総収益であり、ARR(Annual Recurring Revenue:年間経常収益)はシンプルにMRRを12倍したものです。

しかしながら全ての企業の収益性質が経常的なわけではありません。収益性質が経常的でない企業は、そのかわりに月間売上や月間収益といった収益形態になります。例えばUberのライドシェアビジネスによる収益は、それぞれの利用が非経常的な性質なため、MRRではありません。

経常収益と非経常収益のどちらの収益によっても、素晴らしい企業を成立させることは可能です。それゆえに、あなたのビジネスモデルが経常的でないのなら、月間収益をMRRとして扱ってはいけません。

MRRの種類

経常収益型のビジネスをやっている場合、このような収益をさらに分類し、理解することが非常に重要です。

総経常収益を見る際には、New、Expansion、Downgrade、Cancelledに分類するのが一般的です。新規(New)MRRは、それまで取引をしたことがない新規顧客から得られるMRRのことです。拡大(Expansion)MRRは、料金プランなどをアップグレードさせた既存顧客から追加で得られる新たなMRRのことです。縮小(Downgrade)MRRは、拡大MRRの反対で、前月よりも取引額が下がった既存顧客によるMRRです。そして最後のキャンセル(Cancelled)MRRとはその月の間にサービスの使用をやめてしまった既存顧客によるMRRです。私達VCは当然この新規MRRと拡大MRRを沢山持っているビジネスを好んでいます。

契約額 (TCV:総契約額 と ACV:年間契約額)

企業が大口の取引契約を終了する際に、特にB向けの市場では取引の契約有効期間が存在します。TCV(Total Contract Value:総契約額)とは 、このような契約の総価格で、継続期間中に顧客があなたの企業に費やす全てのお金という意味です。 年間契約額とは、顧客の契約期間が12ヶ月を超える場合、12ヶ月の間に顧客が払うと契約した金額を示します。

たとえあなたが売買契約を締結したのと同じ月にTCVを回収したとしても、 ほとんどの場合、同じ月の収益として計上するべきではありません。

契約価値と期間には、会計方針が非常に関連します。しばしばこれは収益を月次で認識することを意味しています。厳密にいつ、どのようにということは公式の会計基準(アメリカではGAAP、日本はJ-GAAP/IFRS)によって規定されています。要は、契約額や実際に回収した金額と、(計上すべき)収益は異なるということです。

売上総利益と売上総利益率

ビジネスの健全さを見極めるには、収益を単純に見ていればいいというわけではありません。それよりむしろ、売上総利益(粗利)と売上高総利益率(粗利益率)を理解している必要があります。 売上総利益とは、収益から、その製品を売るのにかかったコストを差し引いた後に、実際に残っている金額のことです。これはディスカウントや返品による費用を売上総利益に含むような、ほとんどのEC企業にもあてはまります。

売上総利益率は、収益に占める、製品やサービスの原価を差し引いて残ったものの比率です。つまり、収益から原価を引き、収益で割ったものになります。売上総利益率の割合が高ければ高いほど、企業はより売上をあげるごとに多くのお金を手元に残すことができます。多くのSaaS企業が70〜90%という高い売上総利益率を達成する一方、EC企業は20〜40%といった低い水準にとどまります。従って、同じ収益だったとしても、収益、売上総利益、売上総利益率が違えば、まったく意味が異なります。

#500 How_to_talk_about_revenue

収益は重要です。VCに語るべき正しい手法を知ためだけではなく、ビジネスを理解するためにも必要です。

詳しくは500 StartupsのCarl FritjofssonのTwitterへ @fritjofsson
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Miyako Yoshizawa

慶應義塾大学看護医療学部4年。ベンチャーキャピタルや外資系証券会社の証券リサーチ部でIT市場のリサーチを経験した後、大学での専門を生かし、ヘルスケアITに注目。米国のヘルステック系スタートアップについて取り上げるサイト「HealthTech News」を2013年に立ち上げる。

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