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J-KISS発表:シードステージの資金調達のための投資契約書を無償公開

2014年7月、500 Startupsはシリコンバレーで一般的になりつつある資金調達手法であるコンバーティブル・セキュリティ(コンバーティブル・ノートとコンバーティブル・エクイティ)の標準ドキュメント「KISS(“Keep It Simple Security”)」を発表しました。500が経験してきた複数のシリコンバレーの法律事務所との様々なディールや、多くのシードステージ投資家のノウハウをベースに業界標準となる投資契約書を作成し、一般に公開することで起業家と投資家双方の時間と費用を節約することを目的としています。

コンバーティブル・セキュリティは、優先株と比較して交渉すべき点が少ない(ガバナンスや議決権、稀釈化などは含まれない)ため、 適切に利用することで資金調達ラウンドをシンプルかつ効率的に進めることができます。また、その後の大規模な資金調達まで、バリュエーションを含めた複雑な交渉の一部を先送りすることが可能になります。

実際のところ、シードステージでは複雑な条件を交渉すべきではありません。そもそもビジネスモデルの有効性を十分に検証するに至っていない段階であり、事業の不確実性が高すぎて会社の価値を評価することは本質的に困難ですし、複雑さが増すことにより弁護士費用が過度に膨らんでしまったり、資金調達完了に時間がかかることでスタートアップにとって最も重要な「スピード」を損なってしまうリスクがあります。

500 Startups Japanは本日、KISSドキュメントを日本の規制や実務に合わせる形で設計されたコンバーティブル・エクイティ「J-KISS」を発表いたします。日本版J-KISSは森・濱田松本法律事務所の増島雅和先生により設計され、KPMGによる税務面からのレビューを経て実現されました。J-KISSには日本語版と英語版があり、両者は同じ内容・条件になるように設計されるとともに、それぞれの言語で自然な契約書になるように作られています。これらはどちらかが正、どちらかが副というものではなく、日本語版のみでも、英語版のみでも資金調達を実行できるようになっています。

J-KISSを誰もが利用できるよう無償公開することで、スタートアップ業界へ透明性をもたらしたいという狙いもあります。私たちを含め、多くの起業家や投資家たちが過去に散々な経験――成功や失敗を重ねてきました。将来のスタートアップが同じ道を辿る必要はありません。私たちはJ-KISSが、起業家と投資家が資金調達プロセスをシンプルに、そして効率的なものにするためのベースとして活用されることを願っています。

最後に、コンバーティブル・エクイティは、日本のスタートアップシーンではまだ新しい実務であり、まだまだ改善点がたくさんあると思っています。コンバーティブル・エクイティの良さは、発行コストの安さにあり、そのためには条件がシンプルで内容が短いことが必要です。また、日本のスタートアップシーンが世界に開けたものとなるため、海外実務との接続性も考慮しなければなりません。今回のJ-KISSは、こうした諸々の点を総合的に考慮して設計されています。スタートアップ法務らしく、皆さんのフィードバックをもらいながら細かい改善を積み重ね、ユーザビリティを高めていければと思っています。ぜひ積極的に質問やコメントなどを書き込んでいってください。

 

* J-KISSご利用の際には、事前に諸条件をご自身の弁護士と確認することをお勧めします。500 Startupsは、J-KISS利用によるいかなる結果について一切の責任を負いかねます。

*500 Startups Japanは、本契約に係る新株予約権の本邦税務上の取り扱いについて、KPMG税理士法人への確認を行い、基本的には、有償時価発行新株予約権として取り扱われうるものと考えております。ただし、実際の本契約の利用に際しては、その具体的な契約内容に基づき、新株予約権の課税上の取扱いを顧問税理士等にご確認ください。

 

 

James Riney

Managing Partner & Head, 500 Startups Japan

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