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500 Japanの1号投資先スペイシー・CEO内田氏に聞く、シェアリングエコノミーの未来図

500 Startups Japanが投資1号案件として手を組んだ、1時間500円から空き会議室を貸借りできるシェアリングサービスを行っている「スペイシー」の創業者でCEOの内田圭祐氏に、シェアリングエコノミーの今と未来、事業を進めていく上での500 Startups Japanとの関わり、500 Startups Japanの魅力についてお話を聞きました。

そもそもシェアリングエコノミーとは

「シェアリングエコノミー」とは、欧米を中心に拡がりつつあるビジネスコンセプトで、ソーシャルメディア・Webテクノロジーの発達により可能になったモノ、お金、サービス等の交換・共有により成り立つビジネスです。例えば、日本では民泊として話題になっているAirbnbや、車両共有仲介サービスのUberなどが有名です。

スペイシーは、最短1分でスマホからでも会議室の予約・決済ができるサービスです。用途はビジネスミーティングを中心に勉強会、面接、レッスン、研修、セミナー、イベントなど様々。貸し手は、余っている会議室や部屋を一定期間貸し出すことで、使われてないスペースを有効活用できる点も魅力です。

30年後の未来をいかに10年後に持ってくるか?

シェアリングエコノミー今と未来

中村:12年前にはなかった企業としてFacebookAirbnbUberTwitter等のビリオンダラー企業の名前が上がります。FacebookやTwitterは、ソーシャル上での人のつながりを深め、シェアに対する概念を変えました。その後、UberやAirbnbを代表するシェアリングエコノミーがアメリカで普及し、旅のスタイル・生活スタイルを変えていきました。ビジネスコンセプトとしての「シェアリングエコノミー」が日本で話題になり始めて数年が立ち、複数の参入者が現れましたが、その当事者として日本の今のシェアリングエコノミーをどうお考えですか?

内田氏:アメリカと比べ市場規模が小さいというのはもちろんの事、日本のシェアリングエコノミーは、規模とコンセプトの認知が一般人にまで普及するにはまだ時間がかかるなと感じています。

中村:時間がかかると感じる要因とは、何でしょうか?

内田氏:第一に、日本では現行の法令上厳しい部分がありますよね。二大巨頭であるUberやAirbnbでさえ、道路運送法や旅館業法などの法制面の影響でなかなか事業が進まない現状があります。第二に、アメリカの場合は、移動手段がないなど大きなニーズがありましたが、日本はどこでもある程度揃っている。つまり、サービス提供環境が整備されているため、消費者はニーズを見出しにくいこともあげられると思います。

中村:なるほど。では、一方で日本人の文化的側面からくる要因は感じますか?

内田氏:アメリカのようなフレンドリーさとは違う側面が日本にはあるので、やはり心理的な障壁があるとは感じます。例えば、東京のような都市部だと人と人の距離感は、やっぱりありますよね。日本では見知らぬ人と何かをシェアする、ということに馴染むのはそれなりに時間がかかるのかもしれません。

中村:スペイシーは、2013年に設立されましたが、この3年間で何か変化を感じますか?

内田氏:この3年間で大きな変化は感じません。アメリカでは、シェアリングエコノミーが経済に与える影響が無視できないレベルになる一方で、日本のそれはまだ、米粒レベル。「シェアリングエコノミー」という言葉でさえ、まだまだ普通の人は知らない気がしますね。

中村:まだ、生活の中に入り込めていない感じですね。

内田氏:しかし、インドネシアのバイクシェアリングサービス「Gojek」は、一気に広まりました。なぜなら、目の見えるニーズがあった。そのニーズは一気に加速し、サービスの需要と供給量を増やし、市場規模を拡大させました。

一方、日本では「安くなること」が醍醐味になっていますね。元々代替手段が多いので、競争が価格的な点になってしまうところがあります。価格競争とニーズの争いがあるというのが、日本と他国との違う部分の一つで、またシェアリングエコノミーに対する投資額が少ないことも大きな要因としてはあると思います。

中村:それでは、逆に日本におけるシェアリングエコノミーのサービスを提供する当事者として強みはなんですか?

内田氏:モラルが他の国より高い印象はありますね。私たちが扱っている領域は、会議室なんですが、丁寧に使ってもらえる。壊されるという心配が少ないので、安心して貸せるという強みがあります。これは、会議室のオーナーさんにとって大事なことであり、私たちもサービスの供給量を増やしやすいという強みがあります。やはり、需要を喚起するためには、供給量を増やす必要がありますからね。

中村:確かにスケールさせるために必要なステップですね。さて、ここまではシェアリングエコノミーの今についてお話し頂きました。シェアリングエコノミーの未来をどう作っていきたいとお考えですか?

内田氏:国内でも少しずつですが一般に認知されてきたことで、行政の理解も増え進み、民泊が一定期間可能になったりと外部環境も変化していますが、私たちはそのような外部環境の変化に期待せずに、事業を進めていきたいと考えています。未来では、民泊が完全に可能になるのではという期待で進めるのではなく、この瞬間に何ができるかという視点で市場を作っていきたいですね。

また、私たちが目指したい未来として、「自分のものをいくらで貸せる?いつ貸せる?」という未来があります。今は、家、車、会議室などがシェアされていますが、全てにおいてシェアリングできるのでは?と考えています。情報がもっと共有がされれば、シェアできるものが広がっていくのではと考えていて、未来では自分の所有しているあらゆる物のアセットマネージメントを可能にしていきたいと思っています。

中村:つまり、会議室からもっとシェアできる世界の構築を目指していきたいということですね。

内田氏:そうですね。それが実現できれば様々な分野で、生活が楽になると思いませんか?例えば、家の補修を行いたいけど道具がないという人に、使ってない電動工具を貸し出せれば、貸しては使ってないものから新しい価値を生むことができ、借りてはお金を節約できるなど相互のメリットを生むことができると思ってます。それを可能にするシステムをいかに早く作って、浸透させるかが勝負だと思ってます。大事にしていることとして、30年後の未来をいかに10年後に持ってくるか?という視点で動いてますね。

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投資家は、パートナーである

事業を進めていく上で500 Startups Japanとの関わり

中村:500 Japanから出資を受けて以降、彼らとはどのような関わりがありますか?

内田氏:事業の進め方について相談できるメンターという立ち位置で関わっていただいています。
澤山さん、Jamesさんは、起業家側に立ち、起業家の思いや苦労というのを汲み取ってくださっているなと感じています。例えば、現状を共有する中で、上手くいかない部分と良い部分があるとしたら、「うまくいってる部分をシンプルに伸ばせ。」という言葉を頂きました。色々アイデアがあったり、やりたいことがあるのが起業家なので、数ある戦略やアイデアからフォーカスするべき点を示してくれますね。

中村:やはり、投資家と起業家の距離が近いのは心強いですよね。

内田氏:そうですね!一般的に起業家側は投資家には、ネガティブな部分の共有は避けたいですよね。しかし、彼らにはネガティブな部分も全て共有できる信頼があります。困ったことでも何でも共有して相談できます。

中村:他に何か事業を進めていく上で、関わりはありますか?

内田氏:直接な関わりではありませんが、シリコンバレーのスタートアップに関心があるようなスピード感や能力を持った人材をに対して弊社をアピールできたというメリットがありました。例えば、弊社のインターン生なんですが、「いずれ500のポートフォリオとしてJamesさん達にお会いしたい」、「彼らのポートフォリオの1つとしてアメリカのスピード感を持って仕事をしたい」というチャレンジ精神のあるインターン生が集まってきたことは、非常に嬉しいですね。今後の中途採用でもそうした人材を積極的に採用していきたいと考えています。

2段階先のメリット

500 Startups Japanの魅力

中村:最後に、彼らとともに走ろうと決めった理由と魅力を教えてください。

内田氏:まず第一に、500の意思決定が早かったというのが大きな決め手です。お金が動く場面ではどうしても時間がかかりがちなのに、決断が早く、海外のエンジェルのような雰囲気がありましたね。その意思決定のスピード感がスピード感を大事にするスタートアップの経営者としてのモチベーションを上げてくれました。そして、彼らのスピード感を会社文化としていきたいと思いましたね。

中村:やはり、本場の雰囲気を彼らから感じたということですかね。

内田氏:そうですね、もちろん日本の枠だけで収まりたくないという気持ちもありますし。それだけでなく、彼らと組むことは資本的なことだけでなく、2つのポイントがありました。

中村:2つのポイントとは?

内田氏:先ほどお話した未来・ビジョンに対しての理解が早く、未来の可能性を現在からの延長線上に限定せず、自分たちが行う事業を通じて実現したいと考える社会を支持してくれた点があります。また、もう一つは人材確保の面などで彼らのブランド・人材・グローバルネットワークがメリットとなり得るという点もあります。

中村:ありがとうございます。今回のお話をまとめさせていただくと、

1、日本におけるシェアリングエコノミー普及のため・需要を喚起するために、供給量(物件数)を増やしていきたい。目指すは、シェアの幅を広げるということ。

2、500 Japanは、起業家側に立ち、フォーカスするべき点を示してくれる兄貴のような存在である。

3、会社の文化にしたくなるような500 Japanの意思決定のスピード感と2つのポイントを見れるパートナーである。

ということがよくわかりました。

スペイシーCEOの内田さん、ありがとうございました。
さらに詳しく500 Startups Japanの投資に関する取り組み・考えを知りたい方は、Office Hourへ。

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