起業家が語る、初めて従業員を解雇した経験とそこから得た学び

起業家が語る、初めて従業員を解雇した経験とそこから得た学び

500 Startupsの創業者でマネージングパートナーのChristine Tsai(クリスティン・ツァイ)は、創業者として初めて誰かを解雇しなければならなかった時に、複雑な感情を経験したといいます。

「解雇は正しいことであり、自分がそれを躊躇していたとは思いません。その人はスキルとカルチャーという面であまりにも合わなかったのです」とChristineは語りました。

Christine Tsai氏

彼女は誰かを解雇する前に疑念を持ち、感情的に考えるのは当然だと語ります。 「たとえ人材採用市場が今のようにとても良かったとしても、その人の個人的な状況や、解雇がどのようにその人に個人的に影響を与えるかは決してわかりません」

「これらのことを考えてしまうのは構いませんが、正しい決定を下す妨げにしてはいけません」と彼女は付け加えました。 「そのことを考えてしまうのは、あなたがまだやはり1人の人間であることの証です」

「本当に冷酷な人は気にしないかもしれないですね」とTsai氏は言います。「しかし、願わくば、私たちは従業員なんてどうでもいいとするような会社には決してなりたくはありません」

Ethan Appleby氏

「私が初めて解雇した従業員は、カルチャーが原因でした」と美術品ECのスタートアップ、 Vangoの創業者でCEOのEthan Appleby(イーサン・アップルビー)氏は語りました。「彼らはとあるチームのイベントで、馬鹿騒ぎをしました。本当に不適切でした」

いよいよ解雇通知をするというとき、「彼らはすでにそろそろ解雇されると分かっていて、それについてとても冷静だったので、それほど難しくはありませんでした」とAppleby氏は語りました。 「私とエンジニアたちは、彼が非常に素早く窮地から回復できるであろうことを知っていました」。

あなたが解雇すべきかと検討しているなら、間違いなくすべきでしょう。 あなたでさえ迷っているのなら、うまくやっていくのは難しいということです – Ethan Appleby

しかし、もし彼に3人の子供と大きな犬がいて、彼に生計を依存していたら、そのように解雇できたのでしょうか。Appleby氏は「そのことが、私の意志決定を変えたとは思いません。ただ、(解雇するという)意思決定をすることをもっと難しいものにしたでしょう。」といいます。

Sean Percival氏

500 Startupsのパートナー、Sean Percival(ショーン・パーシヴァル)氏は、「初めて従業員を解雇しなければならなかった時、私は信じられないほど緊張していました」といいます。「その従業員と上司の関係はすでに悪化しており、あらゆる会話で非常に敵対的だったのです」結果として、「私はその知らせを伝える準備ができた時、彼らが激怒するだろうと予想し、数日間嫌気がさしていました」

私たちが何かを恐れていた時によくあることですが、Percival氏が想像するほど悪い状況とはなりませんでした。 「最終的な話し合いは非常にスムーズで、彼らはすでに別の仕事を探していることもわかりました。 明らかに彼らはもうすぐ解雇されるということをわかっていたようでした。

つまり私の心配はまったく必要ありませんでした。その解雇劇がすべて終わったとき、私は自分が非常に安堵したのを感じました – Sean Percival

「こういった厳しい決断を下すだけで、本当に大事なことであるあなたの事業に再び集中できるのです」とPercival氏は言います。

長時間労働や継続的な実行へのプレッシャー、そして狭苦しい場所での労働は、スタートアップのカルチャーを形作る一部の要素にすぎません。 誰かが社内の流れにぴったり合わないとき、またはそれから完全に逸脱するとき、多くの起業家は是正措置を取る必要があります。

Tsai氏は、「従業員が仕事でパフォーマンスを発揮できていない場合、起業家はまず疑わしきは罰せずの原則に則り、マイルストーンやフィードバックを彼らに提供し、それが改善するかどうかを確認します」「そういった場合には、それを見定めるのが少し難しくなるかもしれません」と言います。

従業員を解雇することは決して楽しいものではありません。 しかし、それが正しい決定であれば、それをやりきった後で大きな安堵を感じるでしょう – Christine Tsai

Tsai氏は、「それなりに時間をかけてもまだ改善しないのであれば、従業員を解雇するのは理にかなっています。しかし、創業者が従業員を解雇しなければならない理由をはっきりと説明できるのでなければ、そう決断するのは難しいでしょう」と言います。一人では大きな全体の流れを止められないような大きなチーム内では特にそうです。

「誰かを嫌がらせ(ハラスメントを)するようになった場合や、社内の多くの人がその従業員と一緒に働くことができなくなった場合のような時は、本当に面倒なことをする必要がある場合もあります」と彼女は付け加えました。 「それほど明白でない場合は、より困難でしょう」

あなたのカルチャーを確立することは重要なことですが、それが厳しくなりすぎてはいけないとTsai氏は言います。特に大規模で多様な組織でこれが当てはまります。 「私たちの会社は大きいので、常に一緒にいて働く必要はありません。ともに働くことができればいいのです」と彼女は語っています。

適切なタイミングを見計らって、「なぜ解雇が起きているのかについて、明らかにしましょう」とTsai氏は言います。 「あなたが正しいことをしているのなら、それは他の人にとって驚くべきことではないでしょう」

個人的な問題ではなく、ビジネスなのです – Sean Percival

Percival氏は自身が従業員を解雇する前、準備やアドバイスを求めることはほとんどしないと言います。 「私たちがルールに準拠しており、責任を軽減できていることを確実にするために、多くの点を上司に頼っていました。 なぜなら事前に従業員に対して書面による警告を与えていたので、問題点はすでに文書化されていたのです」と彼は述べました。

「解雇通知を行う実際の話し合いでは、時には別の人を出席させることで上手くいくこともあります」とTsai氏は、他の共同創業者や管理職にお願いすることを勧めました。 「これは人との関係や、解雇の根拠や、解雇の仕方がうまくいっていないといった、多くのことが関係しているからです」と付け加えました。

Appleby氏は彼の最初の解雇に備えて、「全部書き出したいと思う、重要な話題を考えました。実際に家に帰って、自分が何を言おうとしているのか1時間ほど自分自身で、可能な限り明確かつ簡潔にしようとしました」と言います。

一度あなたが部屋に入ったら、「話す内容は本当に簡潔に短くしておきましょう」とAppleby氏はアドバイスしました。 「あまり多くを話してはいけません。単刀直入に話しましょう。彼らから質問があればそれに答えましょう。」と言います。(金曜日に解雇するという) 一般的な慣習は無視しましょう。むしろ金曜日に解雇を行なってはいけません。「そうすれば、(その人の解雇の後で)チームの士気が落ちていないかどうかを知ることができ、また、残ったチームからの質問に答えられるでしょう」と語りました。

「時間が経つにつれ、より多くの解雇を行った経験から、私はそれを感情的にしてはいけないことを学びました」とPercival氏は語りました。 “聞こえはよくありませんが、機械のように解雇を行う必要があります。 なるべく話すことは少なくし、絶対的な事実のみを話しましょう」と述べました。

たとえ殆どのスタートアップは専任の人事担当を雇うには規模が足りなくても、起業家は一層ステップアップして効果的なマネージャーになることができます。

「すぐに問題に取り組むのは賢明ですが、特に規模が小さいチームにおいては、より素早く行動しなければいけません」とアドバイスします。 「起業家やCEOが復数のポジションを兼務しているような小さな企業では、どのように組織をマネージするかも変わってきます。」

従業員とのつながりを保つための方法として、正式なレビュープロセスの代わりとしてより本質的な方法もあります。 「基本的な組織構造がある場合、個別の面談を行うのも効果的でしょう。高圧的になる必要はありません」と彼女は語りました。 「個別に状況を確認するための時間にすぎません」

Tsai氏は、たとえオフィスがくつろげる環境だったとしても、個別のミーティングはより一層深く知ることができるので、それまでわからなかった問題が明らかになるといいます。「一対一で話せば、集団で話し合うよりももっと話しやすく感じるでしょう」

「多くの起業家が、チームが小さすぎたり立ち上がったばかりであるために、チームを保つために何かをする必要はないと自身に言い聞かせていたりします」とTsai氏は語った。しかし、それを官僚的にならないようにするためにも、従業員を気にかけていることを示すためにも、なるべく早い段階で取り組むべきでしょう。

多くのスタートアップが、会社がそれなりに成熟するまで社内コミュニケーションに取り組まないのですが、これは間違いだと彼女は述べました。 「社内コミュニケーションに慣れていないと、後になってから取り組むのはもっと難しいでしょう。初期の頃から取り組むのは良い訓練になります」とTsai氏は語りました。

起業家が会社の雰囲気を作ります。そしてそれは第1日から始まるのです

原文記事

Miyako Yoshizawa

慶應義塾大学看護医療学部4年。ベンチャーキャピタルや外資系証券会社の証券リサーチ部でIT市場のリサーチを経験した後、大学での専門を生かし、ヘルスケアITに注目。米国のヘルステック系スタートアップについて取り上げるサイト「HealthTech News」を2013年に立ち上げる。

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