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世界1900万人を魅了する、Tokyo Otaku Modeの成長の軌跡

500 Startups Japanでは、グローバルVCとしての実績やつながりを生かし、ポートフォリオ企業の海外進出を支援しています。海外へ事業を展開する際だけではなく、日本のスタートアップの海外トップVC・企業からの資金調達や、海外企業への売却も積極的に支援していきます。

今回は500 StartupsのアクセラレーターのBatch4に選ばれた、Tokyo Otaku Modeの創業者でCEOの亀井智英さんにお話を伺いました。亀井さんは広告代理店勤務時代に、Facebookページで海外向けに日本のオタクカルチャーを発信する、Tokyo Otaku Modeを立ち上げました。現在ではECも展開し、Facebookページには約1900万人(2016年8月4日現在)ものファンがいます。今回は世界中のファンを魅了する、Tokyo Otaku Modeの原点と軌跡をお届けします。

会社員時代の気づきをビジネスへ

会社を起業する前は、広告代理店でインターネットのメディアを担当し、TwitterやAppleのiAdといった海外のメディアが日本に参入するのを支援していました。Facebookが日本に上陸する際も、グロースの支援やクライアントにFacebookを使ってもらったりといった取り組みをしていました。今では考えられないかもしれませんが、当時日本ではFacebookはまだアンテナの高い一部の人しか使っていませんでした。一方で、グローバルで見れば当時でもすでに5億人以上がFacebookを使っている状況だったので、日本のFacebookユーザー向けに情報発信するよりも海外のFacebookユーザーに情報発信した方が効果的でした。そこで会社やクライアントに、海外向けの情報発信をFacebookでやりましょうと提案したのですが、当時はなかなか理解してもらえませんでした。それだったら一度自分で試してみようと考えたのが、Tokyo Otaku Modeの原点です。

日本の情報を海外向けに発信しようと考えた際に、伝統芸能や旅行といった切り口もあるのではないかと、様々なコンテンツを模索していました。メディアとしてやるのなら、情報の更新性の高いものが良いと考え、毎週発売されるような漫画や毎日のように放送されているアニメやゲームといった日本のオタクカルチャーに行き着いたのです。日本発のもので、かつ海外でとても人気もありますから、ぜひやってみようとなりました。

その当時、漫画にすごく興味があったから始めたというよりも、マーケティング的な視点から最適だと考えて選びました。なので、Tokyo Otaku Modeというサービスは漫画・アニメ・ゲームから始まったのですが、会社名は別の名前を考えていました。結局、Tokyo Otaku Modeが有名になったので、そのまま会社名にしたという感じです。

サークル活動として始まり、メンバーが増えた

僕らがTokyo Otaku Modeを立ち上げた当時、”週末起業”という言葉が話題になっていたんです。これはある種の副業ですが、僕らの場合は副業でもなかったんです。会社にもしていなかったので、一種の部活とかサークルのように活動していました。皆普通に会社に行き、終わった後に集まって活動していたので、社会人のアマチュアバンドみたいな感じですよね。

TOM Founders
TOM日本オフィスにて、創業者の皆さんと500 Japan澤山と吉澤で。創業者が6名と、通常よりも多い。

当時、誰もフルコミットではなかったので、全員ボランティアのようなものでした。僕が言い出しっぺとしてリーダーになり、友人を中心に誘い、またその人たちが他の人を連れてくるというような形でメンバーが増えました。会社を興すぞといって興したのではなく、なんとなくプロジェクトとしてやっていたら、うまくいったので会社になったというような感じです。昔と比べると、会社を作るというハードルは下がっていますから、軽い気持ちでプロダクトやサービスを作ってから会社になるというのも、起業の一つの形だと思っています。

僕も会社を辞める辞めるみたいに言いまくっていて、でもやりたいこともないみたいな状況だったので、しばらくなあなあになっていた時期もあります。それなりに会社も楽しかったからなんですが、いざTokyo Otaku Modeがたくさんの人に見てもらえるようになり、500 StartupsのDave McClureに出会い、背中を押されて、一本に絞る覚悟ができたって感じです。

英語が喋れないまま、500 Startupsのバッチへ

Daveに初めて会ったのは東京なんですよね。その前にMountain Viewで、他のパートナーにプレゼンする機会があったのですが、まだ会社にもしていないような時期で、売上もビジネスモデルもないような状況でした。そこでディスカッションしているうちに盛り上がって、アップデートしたら教えてねみたいな感じで別れたんです。僕らが帰るタイミングでDaveに会いたいって言われたんですが、ちょっと帰るから、また今度ねって言ってたんです。その翌週にDaveが日本に来るっていうので、すぐに会いました。

初めて会ったのが、渋谷のスポーツバーだったのですが、ちょうど日本代表戦をやっている時ですごい人だったんです。とにかく初対面の外国人を探すのが大変だったのはよく覚えています。誰なのかわからないので、それらしき外国人に声かけてようやく会えました(笑)。そのあと渋谷の駐車場でプレゼンをしたんです。そしたら気に入ってくれて、次のバッチに会社を辞めて来いって誘われたんです。

500 Startupsは当時はまだ全然日本では有名でなかった上に、初めて会う外国人に誘われたので、正直悩みました。友達に相談したら、たまたまそういうのに詳しい人だったので、絶対行った方がいいと言われたり、なんてこともありました。僕たちの場合はDaveに誘ってもらうまでは、自分たちから積極的に行ったわけではなかったですが、最近では投資してくれってアプローチする起業家も多いみたいですね。

Daveと話してから、会社を辞めてアメリカに行くまで一ヶ月もありませんでした。色々なことが急激にどんどん進んでいったので、自分たちの力というよりも何か別の力が働いているような感じでしたから、本当に渡米していいのかとも思いました。勢いに任せて行きましたが、そもそも英語も喋れないのでとても不安でした。Daveは英語できなくても大丈夫といってましたが、いざ行くと全然友達ができなかったり、誰と話すべきかもわからなくて結構苦労しました。

そうこうしているうちに、このタイミングでネットワーキング担当は誰、プロダクトは誰といった役割分担が見えてきたんです。僕は最初プロダクトを見るって言っていたのですが、あまりにもセンスがなさすぎて、向いていないことがすぐわかりました。僕がネットワーキングするようになり、500 Startupsの世界中のメンターとつながることができるようになりました。

英語ができないことによる損失は大きい

僕らの場合は、最初は英語ができる友達を通訳として連れて行ったりしていました。ベンチャーなのに通訳がいるなんて前代未聞だと怒られました。それが有効だったかというと、やはり自分で喋った方がいいですし、喋れないとそれだけ機会を損失しているとも思います。

今はとにかく英語を聞いたり、使ったり、継続的に続けています。やはり海外、特に米国とのネットワークを持つことは大事ですし、僕もビザを取って頻繁に米国に行って情報収集とネットワーキングを続けています。

組織が大きくなることで生じる、新たな課題

創業当時も大変でしたが、今もすごく大変です(笑)。ただ最近実感するのは、組織が大きくなると、昔のことを知らない人が多くなっているということです。僕たちは最初、応援していただいていた個人投資家の方の自宅の一部をオフィスとして使わせてもらっていました。15人でいっぱいの部屋に30人ぐらいが体を寄せ合って使っていました。その当時を知っている人は、すごいベンチャー感を味わっているので、何かあっても「ベンチャーってこんなもんだよね」って言えるような感じなんです。

一方で、その状況を知らない人が増えていると、彼らのモチベーションをケアしなくてはいけないという課題が出てきています。成長に応じて、入ってくる人の質も会社の場所も変わります。ベンチャーが好きだから、という理由で入ってくる人と、有名な企業だからという理由で入ってくる人はやっぱり違うのです。昔は取れなかったような人材が、向こうからきてくれるので、スキルレベルも上がりますが、いいこともある反面、さまざまな問題も増えてきます。

社内カルチャーはどのように築いたのですか

何かこちらから働きかけたというより、それぞれの社員が「自分たちのやっていることだから、かっこいい」と思っているような文化があります。

例えば、スタートアップで創業者が会社のTシャツ着るじゃないですか。うちの会社の場合、多い時でスタッフの半分以上がTokyo Otaku ModeのTシャツきてたりするんですよ。それってやっぱり、自分たちがやっていることに誇りを持っているということの現れですよね。

僕もずっと着ていますけど、最初から着ていたというわけでもありません。500 Startupsで僕が取材を受けている際に、会社のTシャツを着ていなかったんです。そしたらDaveから、「なぜ自分の会社がやっていることなのに、そのTシャツを着ないの?」と言われて、この感覚を気づかされました。弊社は、昔から遠隔地からリモートで仕事をしているメンバーが多いので、気持ちの面でも距離ができやす状況でした。つながりを示す一環として、遠隔のスタッフにTシャツができたら配ったり会社設立の記念日に合わせて、⚪︎周年記念Tシャツを作ったりということをいまも続けています。

オタクなのにかっこいい!、ブランドイメージ構築の背景

ここ20年くらいかけてオタクというもののイメージが社会全体で変わってきていますよね。例えば「私化粧オタクなんです」とかいうじゃないですか。僕たちも自分たちが発信する以上、やはりかっこいいものでありたいとは思っています。ロゴもそういう思いを込め、かっこいいというブランドイメージを持ってもらえるように作りました。

Tokyo Otaku Modeで商品を購入してくれている、海外のユーザーが実際に「かっこいい」と思いながら買っているかというとまだそうはなっていないと思います。親しみやすさは感じてくれているみたいなんですけど、まだかっこいいとはなっていないようです。一方で、日本でTokyo Otaku Modeを好きな人って、その人自身もエッジが効いていてかっこよかったりするんです。日本でこのように思われているイメージを海外でも持っていけるようにアプローチしていきたいなと思っています。

1900万人ものFacebookファンを抱えるまでにいたった、グロース戦略

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Tokyo Otaku Modeは2011年3月のFacebookページを開設以降開設から4か月弱でファンは100万人16か月で500万人22ヶ月で1000万人にまで成長しましたその後も順調にファンは増加し現在では約1900万ものファンがページをフォローしているソースMarkezine, Tokyo Otaku Mode

創業当時、Facebookファンを増やすために、勝手に外部のページに書き込むといった、今ではできないような施策もやっていました。例えば、NARUTOの誕生日には、お祝いする会を勝手に開催すると宣言して、みんなでお祝いしようとNARUTOのファンページに書き込んで呼びかけたりしました。そうするとそこのファンが、Tokyo Otaku Modeってなんだろうと見に来てくれて、ファンがすごい勢いで増えていきました。ファンの嗜好が明らかに同じだと考えられる、他のページに書きに行くというのはとても効果的でした。あまりやると怒られるので今ではもうしていません(笑)。

他にもアプリを作ったりもして、とにかく潜在ファン層が興味を持つような取り組みは沢山やりました。何が当たったかと言うよりも、コツコツ積み上げたものが実ったと言う感じです。

最後に、起業家の方にコメントをお願いします

僕たちはあまり英語が喋れない中で、Mountain Viewまで行ってきました。ですから、自分がやろうと思えばなんでもできるということを500 Startupsに教えてもらいました。何かやりたいことを思い続けて、発信していれば夢は叶うと思うので、頑張ってください。

Miyako Yoshizawa

慶應義塾大学看護医療学部4年。ベンチャーキャピタルや外資系証券会社の証券リサーチ部でIT市場のリサーチを経験した後、大学での専門を生かし、ヘルスケアITに注目。米国のヘルステック系スタートアップについて取り上げるサイト「HealthTech News」を2013年に立ち上げる。

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