Elizabeth Yin

トップダウン投資家とボトムアップ投資家の違いと、それぞれへの対応方法

この記事は、500 Startupsのパートナーを務める、Elizabeth Yin氏のブログを翻訳したものです。Elizabeth氏は投資家になる前に共同創業者としてアドテクのスタートアップ、LaunchBit (2014売却)を立ち上げました。資金調達という不透明なことが多いプロセスについて、Elizabeth氏はより起業家にとってオープンなものになるよう明らかにしていくことを目指しています。


これまでの約2年間に渡り、スタートアップへの投資を行ってきました。その中で私は、投資家は大きく2種類に分類できることに気づきました。私はこれをトップダウン投資家とボトムアップ投資家と呼んでいます。

トップダウン投資家

トップダウン投資家とは大きなビジョンを好む投資家です。「あなたの会社が目指していることはなんですか?これを成功させるために、どのような時流に乗っていますか?どのくらい大きなものを得ることができるでしょうか?市場規模は?」といったことを聞いてくるでしょう。

ボトムアップ投資家

ボトムアップ投資家とは、会社のトラクションや進捗状況を好む投資家のことです。「あなたの会社のユニットエコノミクスは良いでしょうか?どのように顧客を獲得していますか?事業をスケールさせるために、今何をしていますか?」といったことを聞いてくるでしょう。

それぞれの投資家の特徴を活かす

どのピッチの方向性が正しいかはわかりませんし、すべての投資家はある程度両方について知りたいと思っているでしょう。しかし私は、投資家が特定のタイプのピッチに惹かれる傾向があることに気づきました。

例えば、Dave McClureはトラクションについて聞くのが大好きです。イベントで彼に遭遇し、30秒でピッチしなければならない場合は、あなたが取り組んでいるビジョンやトレンドについては1文か2文で伝えましょう。残りの大半の時間はあなたが取り組んでいるKPIや進捗について伝えるのに割きましょう。例えば以下のようなピッチです。

はじめまして、Dave。私の会社「Hippos R Us」について30秒で説明させてもらってもいいでしょうか? Hippos R Usは、カバを買うことができるオンラインストアです。最近は住宅規制が変化し、大型ペットを収容するアパートが増加しています。我々は先月、100頭のカバを販売し、過去6ヶ月間に200万ドルの売上をあげ、手数料として50%をとっています。私たちは成長を促進するために$ 250kを調達しており、Facebook広告にもっと多くの資金を投入しています。これについてもっとDaveさんとお話したいのですが、いかがでしょうか?

このピッチは主に進捗と、ビジネスを進めるために何をしているかに焦点を当てています。これらはすべて成長に関することです。これは夢を売ろうとしているが、実際には何もしていない他の多くの起業家と区別するのに有効な方法です。あなたのトラクションを示すことで、実際に会社として発展したシードステージの起業家のトップ10%に入ることができます!このピッチは市場規模については何も触れていませんが、成長トレンドに乗っていることには触れましょう。


Originally posted by tinsoftware

一方で、大きなビジョンを持ったピッチを好む投資家もいます。このような投資家に対しては、なぜあなたの会社が世界を変えるのか、なにが市場においてこのシフトを引き起こしているのか、なぜこれが超大なものになるのかといったことを説明するのに寄り多くの時間を割きましょう。そしてあなたの進捗に関しての説明は、2、3の文章だけで構いません。例えば以下のようなピッチです。

こんにちは、MoneyBagsさん。私の会社Hippos R Usについて30秒で説明させていただけますか?すべての先進国で出生率が低下しています。人々はもう子供を望んでいませんが、感情的な満足感が必要です。この空白を埋めるために、彼らはペットのカバを買いました。実際、ペットのカバの市場は過去5年間で年率1000%の成長を遂げており、アパートでペットとしての利用が可能になりました。 Hippos R Usは感情的な満足感を提供するためにペットのカバを購入し管理するためのプラットフォームを目指しています。これにより、当社のTAM(Total Addressable Marketの略称で、さまざまな条件が満たされたときに実現される、あるプロダクトの最大の市場規模)は$ 5Bになります。 6ヶ月前から開始して以来、100以上の顧客を持っています。これについてもっとお話したいのですが、いかがでしょうか?

このピッチではその大半をHippos R Usが乗っているトレンド(なぜ今なのか)についての説明に割いています。また、このピッチは前のピッチと比べ、「これは最終的に人々の感情的なニーズに役立つプラットフォームになります。単にカバを売買することだけではありません」とはるかに大きなビジョンを売り込んでいます。しかし、アイデアを売っているだけで何もしていない起業家を上回るためには、これまでの進捗についても少し言及したいところでしょう。

結局のところ、起業家の皆さんは夢と進捗状況の両方を売り込めるよう、ピッチを工夫したいと考えていると思います。しかし、あなたがピッチしている相手について、ある程度の洞察があれば、それに応じて宣伝方法やエレベーターピッチを調整することができます。しばしば、起業家の多くはある一方の方向性のピッチを作成することに関しては本当に上手ですが、トップダウンとボトムアップの両方の要素を組み込むことができるのが理想的です。最後に、たった数秒間のエレベーターピッチで両方を主張することはできないので、どちらを優先するか決めることが重要です。


500 Startups Japanでは、シリコン・バレーを始めとする世界50カ国で1600社に投資した経験から得た知恵やノウハウを、日本の起業家へ伝えていくことを目指しています。毎週様々な起業家やメンター、投資家によるストーリーを配信しているので、是非Facebookページをフォローして、最新情報をチェックしてください!

Miyako Yoshizawa

慶應義塾大学看護医療学部4年。ベンチャーキャピタルや外資系証券会社の証券リサーチ部でIT市場のリサーチを経験した後、大学での専門を生かし、ヘルスケアITに注目。米国のヘルステック系スタートアップについて取り上げるサイト「HealthTech News」を2013年に立ち上げる。

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