Two Things Part 1

500 Japanが掲げる、2つの目標(パート1)

私たちが500 Startups Japanとして実現したい事は2つあります。一つは、大きなクロスボーダーM&Aに携わる事。そして、もう一つは日本から真のグローバル企業を生み出すことに貢献する事。この二つの目標に優先順位はありません。双方の実現を目指しています。

私たちはこれまでも、500 Startups JapanがどのようにクロスボーダーM&Aの増加に貢献していけるかという情報発信を行ってきました。この背景のご紹介や、私たちの熱弁をまだお聞きになられていない方たちのために、今回改めて説明しようと思います。

日本のベンチャーエコシステムが世界の基準において比較的小さいことは周知の事実です。先日、私はベンチャーキャピタル投資額の上位国が記載されている以下の図を見て、日本が一覧に表示さえされていないことに落胆しました。なぜこのような状況になっているのでしょう?

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典型的なベンチャーのライフサイクルは次のようになっています:

1)賢く、勇敢な人々が集まって、会社を設立する

2)投資家が、彼らをバックアップする

3)これらの会社がIPOやM&AによってEXITをする

 

ライフサイクルにおけるEXIT部分がこのエコシステムの要です。EXIT部分が欠落すると、投資家が投資のリターンが得られないだけでなく、起業家も自分の費やした時間に対するリターンが得られません。起業家と投資家の両者にとって、EXITによる収益は必要不可欠です。そうでなければ、起業家は起業せずに大企業の中で出世街道を進み、投資家は他の種類の資産に投資したほうが賢明と考えてしまうでしょう。

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残念なことに、日本ではこうしたEXITの数は多くはありません。直近では、日本では年間約100件のIPOと約20件の主な買収がありました。これに対し、米国では毎年約500件のEXITがあり、そのうちの約80%はM&Aによるものです。私たちは日本のIPO数が近い将来に劇的に増加するとは考えていません。また、国内の企業がベンチャーエコシステムの拡大に貢献するほどのスピード感でスタートアップの買収をするようになるのも疑わしいと感じています。積極的に買収を行っているミクシィ、DeNAやKDDIのような先進的な企業は存在しますが、業界全体のM&A EXITをこれら少数の企業に頼ることはできません。何かしらの変化が必要です。

私たちは、国内企業によるM&Aのペースを変えられるとは思っていません。多くの日本の大手企業がバランスシート上にキャッシュをたくさん保持しているとしてもです。その代わり、私たちはクロスボーダーM&Aのペースを変えられるではないかと考えています。

私たちは2つの戦略を持って、クロスボーダーM&Aを増やしていけると考えています。一つはTechnology Strategy(技術戦略)であり、もう一方はTime Machine Strategy(タイムマシン戦略)です。

GoogleがSCHAFTを買収した時を覚えているでしょうか?あの世界的なロボットベンチャーです。SCHAFTは創業当初、国内のVCから資金調達しようとしていましたが、あまりうまくいきませんでした。一方、創業者の友人の紹介により繋がったアンディ・ルービン氏は、SCHAFTの可能性をすぐに見出し、Googleに買収を決めさせたのです。

私たちは、国際社会では認識されていないけれども、興味深い技術を開発している日本の会社は他にももっとたくさんあると信じています。前にも述べたように、外国人の視点から見れば日本はブラックボックスです。十分な情報がほとんど英語で公開されていない現状に加え、率直に言って、世界を相手に自社製品のプロモーションを行うのが上手くありません。

投資によって、私たちがこの現状に変化をもたらすことができると信じています。500 Startupsが日本のスタートアップに投資することで、これらのスタートアップは世界中のメディアに取り上げられる可能性が増えます。それは我々500 Startupsが世界各国のジャーナリストと綿密な関係にあるからという理由だけではなく、500 Startupsのブランドが世界中で知られているためです。私たちはまた、467,000以上のTwitterのフォロワー、119,000 Facebookのファン、そして現時点で13,000 YouTubeの登録者を有しています(ちなみにこの数字はSequoia、Andreessen Horowitz及びKPCBを超えています )。もちろん、あくまでもこれらの数字は空虚な尺度ではあります。とはいえ、あなたのスタートアップを世界に発信するプラットフォームとしては十分な数字でもあります。

グローバルな認知度を高めていくことは重要であり、必要不可欠です。あなたのスタートアップについて、どこの誰が目にするかを想像してみてください。海外の大手企業がとある記事を読んで、「私たちにはこの技術が必要なので買収しよう」と考えるかもしれません。これは短絡的に聞こえるかもしれませんが、より多くの目に触れることの重要性は強調しきれません。どんな買収であっても、最初のステップはまず買い手のレーダーにかかることです。買い手にならなかったとしても、少なくともあなたの顧客になる可能性があります。

タイムマシン戦略は、基本的に欧米で実績のあるアイデアを国内マーケットに適用することを伴います。これは私たちがRocket Internetのように、海外スタートアップのクローン立ち上げを計画しているわけでは決してありません。海外ですでに立ち上がりつつあるビジネスに類似した、日本のスタートアップに投資する可能性があることを意味しています。

Match Groupが、エウレカ(Pairsの運営会社)を買収したのを覚えているでしょうか。Match Groupは長年日本の市場で勢いをつけようと試みては失敗を繰り返しました。彼らが日本で直面していた課題はおなじみのローカライズで、単純にオリジナルウェブサイトを翻訳するだけでは不十分だったという点でした。日本市場は独特で、海外の企業が進出するには文化的、法的なハードルが多々あります。多くの人が言うように、まさに「ガラパゴス」なのです。

しかし、そこにこそチャンスが潜んでいます。日本に進出するには数多くのハードルがあるため、海外企業にとって、類似のスタートアップを買収することによる日本市場参入は理にかなった選択肢です。しかし、買収は結婚のようなもので、時間がかかります。結婚を決める前にデートをするように、買収もデートを重ねなければなりません。買収までの関係構築に膨大な時間を費やす必要があります。

ここでまた私たちの出番です。私たちはこれまでに、世界中で数多くの企業との関係を構築してきました。私たちが日本のスタートアップに投資する際には、早い段階から500 Startupsのネットワークにある類似企業、潜在的なM&A EXIT先候補とのマッチングを計画します。当然、関係構築には時間がかかります。ファーストコンタクトから2年を要する可能性もあります。彼らが日本のことを考えさえしない場合もあります。しかし、結婚する前に信頼関係を築き上げるには時間を要するのと同様に、買収を行う前にも時間がかかるものなのです。

ただし、私たちがクロスボーダーM&AによるEXITを取り上げているからといって、それだけに重点を置いていると思わないでください。あなたの会社がIPOに進んだり、国内で買収されたとしても、私たちは一緒になって大いに喜びます!私たちはあくまで起業家に対し、これまでになかったもうひとつのEXITの選択肢を提供したいと思っているのです。あなたは売却ではなく、IPOに進みたいと考えているかもしれません。時価総額に関係なく、上場企業の創業者であることはステータスシンボルであることも理解できます。しかし、200億円の買収という選択肢が現れた時には、あなたは別の考えを持つかもしれません。

「500 Japanが掲げる、2つの目標(パート2)」では、私たちが日本から真のグローバル企業を築き上げる支援をどのようにしていくかについて、ご紹介したいと思います。クロスボーダー買収もすばらしい成果ですが、さらに目覚ましいのは世界的なユニコーン企業を作り上げることだと考えています。それを実現するために私たちに何ができるのか、乞うご期待ください。

James Riney

Managing Partner & Head, 500 Startups Japan

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