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シリコンバレーのベンチャーキャピタルの、5つの秘密と成功の秘訣

スタンフォード大学で開催された、投資家育成プログラムのVC Unlocked。このプログラムはスタンフォード大学のプロフェッショナルデベロップメントセンターと500 Startupsの提携で開かれた、二週間の集中講座だ。今年2月8日から19日まで開催され、世界中から素晴らしい投資家たちが集まった。

プログラムでの一番の学びは、一流の投資家になる道のりはたくさんあるということだ。そしてどれが一番正しいということもない。

最終日に「VCの秘密を知ることができましたか?」と聞かれた参加者たちは、完璧に知ることができたと答えた。参加者はVCとして成功するための方程式は存在しないことを理解していたが、プログラムを通してVCについて考える際のフレームワークを理解できたという。VCには、ファンドを立ち上げるということ、資金調達をするということ、会社の可能性を評価するということ、契約書を体系化するという役割があり、それぞれ異なった側面として考えなくてはいけない。これらのことを参加者は、理論と実践の両方を学ぶことができたという。

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講師スタッフには、投資経験豊富なスタンフォードの教授であるMichael Lepech氏、 Mike Lyons氏、Pedram Mokrian氏と、500 Startupsのパートナーである Dave McClureとBedy Yangらが参加。またこの他にも、シリコンバレーのVCから8名が参加した。それぞれの講師が、VC業界で活躍するようになるまでに別々の道を歩んできている。

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ゲストスピーカーのアドバイスや知見を得た参加者たちは、その教訓を地元のエコシステムに活かすだろう。今回は彼らが学んだたくさんの知恵のうち、特に参加者が参考になったという5つの学びをご紹介する。

1.何かの象徴として認識されるようになれ=ブランドになれ

講師として参加したVCの大半が、個人としてのブランドを築くことの大切さについて話した。

また投資のディールフローを作るために、特徴的なポートフォリオを持っていることも重要だ。スピーカーは参加者に対し、たくさん人と話し、ディナーを企画したり、コンテンツを投稿するべきだと促した。中でも特に、自分の選んだ特定の領域に活発になるべきだと勧めた。

ディールフローを作るのに、他に必要なこととして以下も挙げられた。

-エンジェル投資家のネットワークに参加し、そのフローを盗むこと
-起業家やスタートアップ関係者たちのツイッターを追いかけること
-起業家に対し、強く影響を受けた友人の会社はどこか聞くこと

500 StartupsのファウンダーDave MClureや Upfront VenturesのMark SusterといったVCは、彼ら自身のアドバイスに絶対に従っているという。SusterはBoth Sides of the Tableという人気のブログを運営しており、欠かさず毎週日曜日の夜に24万3000人のフォロワーに向けて情報を発信している。 一方でDaveはMediumに500hatsというブログを開設している他、毎日30万人のフォロワーに向けてツイートもしている。

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2. 投資Thesis(ポリシー・理論)を持て=投資基準を明確にせよ

プログラムでは、その大部分の時間を使い、参加者の投資Thesis(ポリシー・理論)を明確にするのを支援する。これによりディールの際に、より査定に専念することができるからだ。

Soft Tech VCでキャピタリストを務めるJeff Clavier氏は、地域や領域、産業、ステージ、付加価値、インフラ、エコシステムにかかわらず、参加者が投資基準を明確にしたり、明確な独自戦略を持てるよう支援した。絶対的なスクリーニング機能として、投資Thesis(ポリシー・理論)を扱うべきだと話した。Clavier氏の場合は、Soft Techの投資判断を3つのAss(お尻)としてまとめている。1つ目に「A smart ass team(賢いバカなチームであること)」、2つ目に「A kick ass product(超かっこいいプロダクトであること)」、3 つ目に「In a big ass market(超でかい市場を狙っていること)」だ。さらに、ディールの際には、チームが自ら投げかけるべき、ある質問を決めている。そしてその答えが、明確な「イエス」ではない場合は、その会社には投資しないという。

Felicis VenturesのAydin Senkut氏は、明確な成功の方法がないことに苛立っている。彼は「自分のバックグランウンドに基づいて強みに気づくべきです。その強みを基に、あなた自身を一番必要としてくれる会社を探すことが大切でしょう。この理念に基づきながらも、常に広い視野は持っている必要があります」と話した。彼は参加者に対し、投資判断の際には未来を描くよう勧めた。

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3. 投資の際には、自分の直感に従え

シリコンバレーで成功しているVCの多くが、創業メンバーの重要性について語り、創業者との最初の顔合わせで感じた自分の直感に耳を傾けているという。

スタンフォードの教授たちの場合は、投資する際に自信を確かめる方法として、自分自身のお金でも投資したいかどうか考えるという。

AngelPadのTomas Korte氏は、シリーズAの調達以降の会社の多くにおいて、決定権を持った強い創業者がいるものだと考えている。もし最初のミーティングの時点で、創業者の中にそのようなリーダーシップを見つけられなければ、彼は投資しないときめているという。

Jason Calacanis氏の場合は、彼自身の「スーパーパワー」が創業者の打たれ強さを見抜くことができるという。さらに彼は会社にコミットするとすぐに、創業者にとって自分が重要なリソースになれるよう試みるという。「創業者にとって役に立つ投資家こそが勝つのだ」と語った。

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4. 常に透明性を保ち、説明可能であれ

評判や人間関係は、VCと起業家のコミュニティにおいて重要な鍵となる。VCは参加者に対し、きちんとコミュニケーションをとること、LPや他のVCや起業家に対して透明性を保つことを促した。いい投資案件の多くが友達や知り合いからきているからだ。

あなたの周りでエコシステムを構築するのなら、特に地理的な意味でどこで立ち上げるのかがとても大切になる。

5. 常にハングリーで、率直で、謙虚であれ

参加者はいくらVCが経験を持っていても、それがより良い投資先を見つけられるということではないと述べている。多くのゲームが運であるように、投資においてもゲームに身を置いているつもりで、ポジティブかつ謙虚であるべきだ。

Jeff Clavier氏は、VCがぱっと見であまり面白くない創業者だからと、ミーティングを断ってしまいがちだが、それは間違いだ伝えた。それぞれの機会に対して、先入観を持つべきではないという。特に創業者の質が高かったり、いい人からの推薦があるときにはより一層意識が必要だ。

また今回のプログラムでは個人のバイアスを探求し、そのバイアスをどのように意思決定に活かすかも考えた。特にClayman Institute of Gender StudiesのMari Baker氏による、多様性に関するセッションではこの点を重要視していた。彼らはどのように自分自身のバイアスを認識し、決断を下す前に二度考えられるようにするために必要なことを紹介した。

Aydin Senkut氏によると、彼のFelicis Venturesが掲げている成功への鍵は、あえて様々な国のバックグラウンドを持ったパートナーを揃えることにあるという。これにより、客観的な判断が下しやすくなるという。また彼は、「移民としての我々のDNAが、投資先の創業者とより一層親密にしてくれるのです」と話しており、実際にFelicisは世界35カ国の会社に投資している。

ここに記したことは、VCのほんの一部の秘密にすぎない。ぜひプログラムに参加して、すべての秘密に触れてほしい。→次回のプログラムに応募する

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Photos by Yiging Lu

原文記事

 

Miyako Yoshizawa

慶應義塾大学看護医療学部4年。ベンチャーキャピタルや外資系証券会社の証券リサーチ部でIT市場のリサーチを経験した後、大学での専門を生かし、ヘルスケアITに注目。米国のヘルステック系スタートアップについて取り上げるサイト「HealthTech News」を2013年に立ち上げる。

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