#500 Money

シードステージのスタートアップが資金調達で聞かれる、3つの重要な質問

今回はシリコンバレーのベンチャーキャピタル、Susa VenturesのパートナーであるLeo Polovets氏のブログをご紹介します。Leo氏は元エンジニアとしてLinkedInやGoogleでC向けのサービスやビッグデータ関連の問題に取り組んでいました。現在彼はデータ関連領域に特化したVC、Susa Venturesで投資を行っているほか、エンジェル投資家としても活躍しています。

トラクションが得られた後であれば、スタートアップの資金調達は単純です。投資家はビジョンやチームについてもある程度気にかけるものの、「どのくらいの早さで売上を伸ばしているか?」や「月間のログインユーザー数は?1日あたりでは?」、「直近3ヶ月以内のリテンション率は?12ヶ月では?」といった様々な数字を分析・解釈することに注目が移っていきます。たとえ数字以外のピッチが弱くても、重要な数字が出ていることで、あなたの会社について想定されるリスクを潰すことができます。結局のところ、もしあなたの会社が毎年200万ドルを売り上げ、毎月20%成長していれば、素晴らしい会社になるのは間違いないでしょう。

しかし、重要なトラクションを出す前に、調達しようとするのなら話は別です。データの代わりに、仮説や逸話、確信が求められます。このステージで投資家とやりあうには、巨大な市場を追求することや、以下の3つの質問に対する強い答えを持っている必要があります。

1)なぜこのビジネスなのか
2)なぜ今なのか
3)なぜあなたなのか

これらの質問に答えさせることで、投資家はあなたの会社について想定されるリスクを一つ一つ潰すことができるのです。適切なソリューションで顧客の問題を解決でき、市場参入のタイミングもよく、チームも素晴らしいと納得させることができれば、投資家は投資したがるでしょう。(さらに重要なのは、これらの質問に回答できるようにしておくことは、素晴らしい会社を作るのにも役立ちます。)これらの質問を一つ一つ分析していきましょう。

なぜこのビジネスなのか?

ほとんどの問題には、様々な方法で取り組むことができます。あなたの会社がある特定のソリューションに絞って提供しているのなら、なぜ他にもある方法の中からそのソリューションを選んだのかと説明できる必要があります。

例えば、最もスマートなEC商品のレコメンドサービスを作りたいとしましょう。これには様々なアプローチがあります。

・小売業者のための解析ツールを作り、これによって集めたデータでレコメンドエンジンを開発する
・ユーザーのメールボックスを取集し、どのような商品が一緒に購入されているか学ぶ
・ユーザーのブラウザ履歴から、関連商品を学べるChromeのエクステンションを作る

この他にもまだまだあります。解決しようとしている課題に対して、3つや30もの、下手したら300以上のアプローチがあるに違いありません。なぜあなたのアプローチが最適なのか、説得力のある事例がなければなりません。他のアプローチをしている企業も自分たちのアプローチが最適だと思っていると予測するべきですし、あなたの見地を強化するデータや洞察が必要になるでしょう。もしChromeエクステンションを作ると決めたのなら、どうやって時間の無駄遣いをしているとわわかるのでしょうか。代わりにGmailやMagentoのプラグインを作るべきでないとどうしてわかるのでしょうか。GmailプラグインよりもChromeエクステンションの方が良いと投資家を説得できなければ、投資家はGmailプラグインの会社に投資するか、どこにも投資せずもっと市場について理解できるまで待つでしょう。

なぜ今なのか?

あなたのソリューションこそが正しいだと投資家を説得できたのであれば、次は「なぜこれまで誰もしなかったのか」や「なぜ1年前にやっていないのか」と聞かれるでしょう。今があなたのビジネスには一番良いタイミング時だと説明しなければなりません。

今まで誰もやろうとしなかったのは、自分が特別聡明で洞察力があるからだと説明しようとするでしょう。しかし、ほとんどの起業家は聡明で洞察力があるものなので、これだけでは十分に満足な答えになりません。この質問に対する、より良い答えには、規制の変化や技術の革新、技術の普及、急拡大している新たな市場といった要因が含まれているものです。例えばUberがローンチされた2010年は、スマートフォンの普及が目覚ましく増えた年であり、非常に良い非常に良いタイミングだったと言えます。その数年前だったらスマートフォンを持っている人はごくわずかでしたから、早すぎたでしょう。

ドローン撃退スタートアップは、良いタイミングである最近の事例でしょう。ドローンの売上はここ数年で10倍以上に成長していますし、2016年には200万台が販売されると予測もされています。ドローンの急増に伴い、恐ろしいドローン関連の事件の数も増えています。これらの事件を受けて、幾つかの企業はドローンに対する防衛サービスを提供していて、この領域への投資は盛んになっています。もし数年前ならば、ドローン関連の事件は大して注目を集められず、早すぎたでしょう。また一方で数年後であれば、恐らくこの問題はこれら企業により解決してしまっているので、会社を成功させるのは難しいでしょう。(より重要なのは、これら3つが整っていることで偉大な企業を作るのを助けてくれるのです。)

なぜあなたなのか?

正しいプロダクトを正しいタイミングで作った後、この事業にとって期待できる、最高のチームを集めたという揺るぎない主張をする必要があるでしょう。これをファウンダー・マーケットフィットと呼びます。例えば、あなたのプロダクトに機械学習や大企業向けの営業スキル、EC業界の知識が必要だった場合、チームはこれらに強くなければなりません。

ファウンダー・マーケットフィットがない場合には、より苦労が必要になりがちです。創業者が誰も機械学習を理解していないのなら、機械学習のプロダクトを作るのはとても大変でしょう。 創業者がコンシューマー向けのアプリの経験しかないのに、企業向けのプロダクトを作るのも大変です。これらは不可能ではありませんが、とても大変なのです。もし素晴らしいアイディアとタイミングがあっても、不適切なチームだった場合、投資家は同じアイディアを持ったより良いチームの会社に遭遇することを期待し、投資を見送るでしょう。

この質問に対する強い答えは、誰よりも目の前のタスクに向いているかや、どの競合よりも合っているということを実証してくれます。良いファウンダーマーケットフィットの例としては、関連した領域でR&Dの深い経験がある(Vivのチームは、以前Siriを作っていました)参入が難しい市場で強力な人脈を持っている、創業チームのスキルの組み合わせが独特で複製しにくいものである、などが挙げられます。

なぜ悩むのか?

これらの質問の考え方のポイントは、投資家に印象付けることを過度に意識し過ぎないことです。あなたのチームの実際の内部実態調査をし、 時間を効率的に使いましょう。「なぜこのアプローチが正しいのか」や「なぜこのタイミングだといいのか」、「なぜこのチームがビジネスに最適なのか」と言った質問への強い答えができなければ、何か他のことをやるべきです。すなわちこの場合には、同じアプローチを続けつつ、現在の共同創業者を入れ替えたり、新たに何かを模索するのがいいかもしれません。または解決しようとしている問題に対する、代わりのソリューションを探すことに時間をかけた方がいいかもしれません。

投資家へのピッチを最適化することで、資金調達を短い期間で行えます。しかし大きな市場の課題を解決出来る可能性を最大化にすることは、より優れた調達戦略でもあり、優れた経営戦略でもあります。正しいチームで、正しいタイミングで、正しいビジネスであることは、資金調達や会社を成功させる上での必要十分条件ではなく、本当に助けになるものです。

原文記事 Coding VC
画像 401(K) 2012

Miyako Yoshizawa

慶應義塾大学看護医療学部4年。ベンチャーキャピタルや外資系証券会社の証券リサーチ部でIT市場のリサーチを経験した後、大学での専門を生かし、ヘルスケアITに注目。米国のヘルステック系スタートアップについて取り上げるサイト「HealthTech News」を2013年に立ち上げる。

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