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いつIPOしたいかなんて言わないで

日本のスタートアップ界隈でみられる、不思議なことの1つに、シードステージの起業家がピッチ中にIPOのタイミングを宣言することがあります。辛うじて最初の顧客を獲得できたかできないかぐらいの時点で、真顔で株式公開を何年の何月にする、と言うのです。無茶苦茶だと思ってしまいます。

あなたは、これを野心の表れだと捉えるかもしれません。会社のIPOを宣言するような起業家はきっと大きなビジョンを抱いているんだろう、ということでしょうか。こうした考え方が問題なのは、IPOを成功の終着点にしようとしているからです。エグジットで利益を確定できる投資家の場合は、確かにそうかもしれません。しかし、ファウンダーがそうであってはなりません。起業家にとって、IPOはそもそも、資金調達の一手法に過ぎません。資金を調達するためにIPOを行うのであり、つまり、それは状況の変化に過ぎないのです。IPOを行うことは、会社にとって新たな章の幕開けとなる健全な移行なのです。

世界有数の企業は、IPO後もずっと成長を続けています。私たちの多くは、Amazon、FacebookやNetflixが株式公開した直後に株を買っておけば良かったなー、と思っているはずです。Amazonのベソス氏、Facebookのザッカーバーグ氏やNetflixのヘイスティング氏にとって、IPOは始まりに過ぎませんでした。IPOこそしていませんが、KDDIへの売却を決めた際にSoracomの玉川氏が語った言葉を気に入っています。「これはexit(出口)ではなくentrance(入口)だ」、と。彼にとって、会社のビジョンを実現する為の一手段に過ぎなかったのです。

残念ながら、この悪しき風習の責任は投資家にあります。起業家らに、なぜエグジットのタイミングを伝えるのかと聞いてみたところ、大概の場合、他の投資家が聞くからでした。 後の方のステージならともかく、アーリーステージではあまりに時期尚早です。大成功した会社は、初期のタイミングにIPOを考えてなどいなかったはずです。私の考えが甘いのかもしれませんが、いつあなたがIPOするのかに興味はありません。世の中をどう変えるのか、むしろそれが私の聞きたいことなのです。

Photo Credit: ”Tokyo Stock Exchange” Guilhem Vellut

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