Competitor Pitch

資金調達における、競合の考え方と投資家への伝え方

こんにちは、500 Startups Japanのシニアアソシエイトの吉澤です。日々起業家にお会いし、ピッチをしていただく中で、競合に関して「競合はいません」とだけ話す人がたまにいらっしゃいます。確かに競合がいないのならそれが理想です。しかし、「競合はいない」とだけ言われると投資家は「本当にそうですか?ちゃんと考えていますか?」と起業家の分析に疑問を感じたり、「競合いないなら、そもそもマーケットがないのでは?」とビジネスそのものの可能性を疑問視してしまうといったことがあるため、実はあまりポジティブな言葉ではありません。

競合について話すべき理由について、500 Japanの代表のJames Rineyもブログで以前ご紹介しています。

競合分析が重要な理由

投資家が競合を聞く理由は、そのビジネスがどういった点で他社よりも優れており、顧客を惹きつけることができるのかや、なぜ他にはできなくて、あなたならできるのかという「その会社の相対的な価値」を聞きたいからです。ですから、適切に競合を捉え、分析することはあなたの強みを伝える上で非常に重要なことになるのです。

本当に競合がいない場合には、「競合がいなくて良かった」で終わるのではなく、なぜ他社がやらないのかを考える必要があります。そもそも美味しいマーケットではないか、他が参入できないほど何か高いハードルがある事業なのか、これを考えることは投資家へのピッチのためだけでなく事業を考える上でも無駄にはならないと思います。この結果が例えば、他にはできない技術的なハードルを、そのスタートアップなら解決できるという場合には投資家に非常にポジティブな印象を与えることができるでしょう。

競合の考え方

しかしながら、いざ競合について考える際そもそもどこからどこまでを競合と判断するかは経営者によっても異なります。競合は必ずしも同じソリューションで同じ顧客層の同じ問題を解決しているものだけを言うわけではありません。競合する範囲を適切に捉え、それぞれとの違いやぶつかるリスクを適切に見積もることが求められます。

範囲から考える競合の分類

  • 直接競合: 自社と同じ課題を同じソリューションで解決している企業
  • 間接競合: 自社と同じ課題を異なるソリューションで解決している企業
    (例:Airbnbの直接競合はHomeAway、間接競合ではHotels.comなど)

競合がいないと言う場合の多くは直接競合はいないかもしれなが、既存のソリューションだったりほかのアプローチの会社といった間接競合を見落としているケースが多いです。それでも既存のプレイヤーがいなければ、将来的な大手の参入リスクや、何故まだ参入されていないのかなどを考えると良いでしょう。

競合の示し方

上記で競合を正しく把握したら、早速ピッチ資料に落とし込みましょう。以下にその方法を示します。

  1. 基本のマトリクス図
    皆さんもよくご覧になっているかと思いますが、2X2の図で示すことで競合各社のポジショニングを視覚的に表すことができます。X軸とY軸を適切に設定することで、市場における自社のユニークな強みを示すことができます。

    参照:LinkedInのシリーズB調達時のピッチ資料

  2. Petal Diagram
    花の形で視覚的に競合を示す方法です。この手法はプロダクトの方向性や機能が3つ以上ある場合に特に役立ちますがシンプルな機能・サービスの場合には適していないこともあります。作り方は簡単です。自社を中心に置き、主な競合相手のタイプを3つから5つ考え、タイプ1つ1つを花びらとして示し、それぞれに当てはまる競合を中に入れるだけです。必ずしも5タイプ必要なわけではなく、3つでも十分です。また、各花びらに入れる企業はそのタイプでトップの3社のみにしましょう。

    参照:Slack

  3. Harvey Balls
    主要な競合数社と自社で、複数の要素がそれぞれどう優れているか視覚的に示す方法です。品質といった、定性的な情報も視覚的に比較できる点で優れています。

    参照:VentureKIT

    また、Mark Susterは、Harvey Ballsは経営者自身が自社をどのように差別化させるか戦略を練る際にも非常に有効だと語っています。通常起業家は、自社がほとんどの要素を満たし、競合はそれらが不足しているようなHarvey Ballsの資料を投資家に向けてピッチします。

    一方で、あえて自社に不足しているとこを明確にした上で、特定の分野で他社よりも圧倒的に強くなることを示すことは必ずしも投資家にネガティブな印象を与えません。全てが優れていると見せずに、現状のMVPの戦略と将来のロードマップについて話すことについて、Susterは好印象だと考えています。

競合についてピッチする際に重要なこと

ピッチの準備ができたら、投資家に話しに行きましょう。話す際に何より重要なのは、競合に対して敵意や嫌悪感を抱くのではなく、冷静な視点で比較し、彼らから学ぼうとすることです。あなたが競合を嫌っている場合、どうしても感情的に見てしまうため、冷静な判断が難しくなってしまいます。また、その態度は時にピッチに現れてしまいます。競合はあなたの会社をよりよくするためのヒントを時に与えてくれる存在だと思い、学ぶことが重要でしょう。

500 Startups Japanでも、起業家からの連絡をいつでもお待ちしています

吉澤美弥子

慶應義塾大学看護医療学部卒業。在学中に海外のヘルステック企業やデジタルヘルス企業に関して取り上げる、HealthTechNewsを立ち上げ、2016年売却。外資系証券会社の株式リサーチ部で、TMT市場に関わる調査アシスタントなどを経て、500 Startups Japanに参画。

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