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マーケットプレイスのスタートアップがしがちな、14の致命的な過ち【前編】

今回は、メーカーと小売店を繋げるマーケットプレイス「Storefront」の創業者で、500 StartupsのEIRのTristan Pollock氏が、マーケットプレイスを展開するスタートアップがしがちな14の過ちをご紹介します。


一週間前、今回はサンタモニカにあるDogVacayの本社で、第5回目となるMarketplace Dinnerを開催しました。Marketplace Dinnersは、成長しているマーケットプレイスのスタートアップの起業家やリーダーが一同に集まる、ハッピーアワー風のミートアップです。それぞれのイベントは3時間程度で、食べたり飲んだりしながら、マーケットプレイスを構築するために必要なことについて話したりします。

これまでに、AirbnbUpwork(旧Odesk)eBayLyftUberThumbtackなどの著名な起業家やエグゼクティブを含む、250人以上の起業家とリーダー(各回あたり平均50人)が集まりました。

なぜ私はMarketplace Dinnerを開催しているのでしょうか。このミートアップが必要なのには2つの理由があります。

  1. 起業家は驚くほど親切で、協力的である
    ミネソタ州からサンフランシスコに引っ越してきた際、テック系のコミュニティから歓迎されたように感じました。私はこのような文化を維持したいと思っています。見解を聞いたり、一緒にお茶してもらうために、起業家に電話をかけたり、メッセージやメールを送ったりしたことは数え切れないほどあります。そして彼らは99%、友好的な返事をくれます。
  2. マーケットプレイスはやりがいがあるが、ハードである
    2つのタイプの顧客にサービスを提供しているときは、考えるべきことはたくさんあります。特にこの2つの顧客が共に動く必要があるようなサービスであれば、一層そうでしょう。したがって、途中で多くの間違いが生じがちです。

いくつかの過ちは不可避で、学習と改善を迅速に繰り返す自然なプロセスの一部ではありますが、多くのマーケットプレイスがしがちなよくある(もしくはコストのかかる)間違いに関しては事前に防がなければなりません。今回はその間違いについてご説明します。

まずはじめに、メリアム・ウェブスター辞典による、「マーケットプレイス」の2つの定義から、歴史ある教訓を知りましょう。

  • 意味⑴
    市場やオープンセールが行われている広場や街中の場所などのこと
  • 意味⑵
    取引のために無形の価値が競争する商業業界*のこと

*ビジネスの定義を近年の用語にまで適応させようとするのなら、「商業業界」とはプラットフォームを意味します。「競争」には買い手と売り手(需要と供給)が含まれ、「無形」の価値には有形の商品も含まれます。

さて、明らかにこの言葉の定義をアップデートする必要があります。辞典を書き改めるために、私は現代のマーケットプレイス・ビジネス、すなわちシェアリングエコノミーを次のように定義したいと思います。

マーケットプレイスとは、製品/サービスの取引を簡単にするプラットフォームで、その製品/サービスを求める人(通常は買い手と呼ばれる)が、その製品/サービスを提供する人(通常は売り手と呼ばれる)と繋がれるようにするもののことです。

次に、マーケットプレイスを構築する際にしがちな、よくある間違いを掘り下げます(順序不同)。さらに、Airbnb、Upwork(旧Odesk)、Etsyなどの大手マーケットプレイスのリーディング企業から直接話を聞いてみたいと思います。

マーケットプレイス構築でしがちな間違い ①杜撰なリスクマネジメント

Airbnbで貸しに出されていたアパートの貸し手が、盗難や設備の損害を明らかにした際に、メディアは連日この騒動を取り上げました。そのためAirbnbは広報対応や顧客対応に非常に多くの時間を費やさなければいけませんでした。一方で、ハリケーン・サンディー(2012年に大きな被害をもたらした熱帯低気圧)がマンハッタンの大部分を浸水させてしまった際、Airbnbは値下げをし、住む場所を失った人々のために家を提供することで、被災者を手助けしたのです。

一方、Uberはこの間違いを何度も犯してしまいました。オーストラリアのシドニーで発生した人質事件の人質救助中に、配車の価格を高騰させました。また、インドでは運転手のバックグラウンドチェックを怠るということがありました。Uberは顧客の信頼と安全を、文字通りback seat(後部座席)にあるのではなく比喩的なback seat(ないがしろに)しているという認識を一般に与えてしまったのです。

マーケットプレイス構築でしがちな間違い ②賢明なリスクマネジメントをしているにも関わらず、それが伝わっていない

EquityZenの共同設立者兼CEOであるAtish Davda氏は、リスクマネジメントをしつつ、それを適切にプロモーションすることが顧客にとってどれほど重要であるか話しています。

「すべての幸福な家庭は互いに似ている。不幸な家庭はそれぞれの仕方で不幸である」というトルストイの名言から話を始めたいと思います。マーケットプレイスの場合、それぞれの過ちを構成するものが異なっている点で明らかにトルストイの発言と似ているでしょう。

EquityZenのようなFinTechのマーケットプレイスでは、信頼が不可欠です。FinTechのマーケットプレイスのコア・オファリング(売り手が取引構造を使用してバイヤーに株式を売却する)には、投資家保護のための仕組みがはじめから組み込まれているので、投資家の資金は保護されています。これを買い手に事前にしっかりと伝えられていないと気付くまで、しばらく時間がかかりました。 私たちは全ての仕事をこなしていましたが、自分自身の評判は求めていなかったのです。

数ヶ月後のある日、私は500 Startupsの仲間の起業家と一緒に座っていると、彼は以下のことを簡潔に言いました。「なぜ皆あなたの無名のサイトに何千ドルも送金しないのか不思議でしょう。資金が保護されていることを教えてくれていれば、私ならすぐに2万5千ドル支払っていると思います。あなたはFidelity(のような著名な金融機関)ではありませんが、Fidelityのように顧客の資金を保護しているのなら、そのことについてきちんと伝えましょう。

今、会話の早いうちにマーケットプレイスのこれら保護機能に関して取り上げることができたので、コンバージョン率は一気に高くなるでしょう。

マーケットプレイス構築でしがちな間違い ③目的なしに提供されるプラットフォームになってしまっている

あなたのマーケットプレイスは、本当の問題を解決していますか? StartXの共同創業者でAirbnbのプロダクトリーダーであるJonathan Golden(ジョナサン・ゴールデン)氏は、「私の個人的な考えですが、市場はそれぞれ異なると思います。 これはUber for XやAirbnb for Xが必ずしも機能するわけではないということです。 それぞれの市場の動向はユニークで、それぞれ異なるからです」と語っています。

マーケットプレイス構築でしがちな間違い ④ムーブメントを起こさない

多くの人々が「ステルス」のマーケットプレイスの時代が終わりに近づいていると言います。初期から会社のブランドエクイティ(ブランドが持つ資産価値)を把握し、業界内で地位を築く必要があります。

フードデリバリー業界を例に見てみましょう。フードデリバリーの領域は現在かなり競争が激しい業界ですが、サンフランシスコのSprigやシアトルのLishといった企業は、社会を意識したデザイン主導のブランドを構築することで、業界にダイナミックな変化を与えています。

これにより他の企業との違いを明確にし、競合を打ち破ることができるでしょう。

マーケットプレイス構築でしがちな間違い ⑤コミュニティを取り締まらない

Etsyのユーザーコミュニティ「Forum」上で横行している荒らしから、最新のプロモーションコードで登録しただけの便乗ユーザーに至るまで、 会社やコミュニティのために目立つビジョンとブランドを彼らにはっきりと示す必要があります。特に早い段階から、コミュニティに介入し監督する必要があります。

たとえば、Storefront(Airbnb for 店舗)で利用できる小売スペースをより適切に管理することで、実際に訪れる客が多くなります。すると、スペースを借りるブランド、アーティスト、デザイナーが小売店やイベントの目標を達成する可能性が大幅に高まりました。 借り手の目標には通常、露出や営業の拡大、マーケットテスト、または顧客獲得が含まれます。したがって、彼らは人々に店舗を訪れてもらう必要があり、もし来店客を得られなければStorefrontを再び使うことはないでしょう。 同社は供給サイドを慎重に監督することにより、需要サイドのリピート率をわずか6ヶ月間で65%まで引き上げることができたのです。

マーケットプレイス構築でしがちな間違い ⑥コミュニティを過剰に取り締まる

ここでは、RelayRides(カーシェアリングサービス)とP2Pの支援組織PeersのファウンダーであるShelby Clark氏からの学びをご紹介します。「創業間もない頃は、ユーザーの体験をより高品質のものにすべく、過剰に体験を制御しようとしてしまいました」とShelby氏は説明します。

「自分たち以上にコミュニティの方が、より良いユーザー体験を大規模に実現できるということがわかりました。そしてコミュニティへの制御を手放せば手放すほど、コミュニティへのエンゲージメントは高まり、より早くスケールできたのです」

彼は過剰な取り締まりに関して、以下の2つを例に挙げています。

  1. 最初の頃は私たちがすべてのカスタマーサービスを行っていました。その後、何か問題が生じた際には、すぐに借り手が貸主に直接連絡をとれるようにしたので、私たちの仕事は減り、問題解決にかかる時間が短縮されました。
  2. 初期の頃は、鍵交換せずにモバイルでアクセスできるようにするために、すべての車にZipcarタイプの技術を導入していました。それは直接会って鍵を渡すことによって生じるトラブルを懸念していたからです。しかし、ユーザーは直接会って鍵を渡すことを問題ないと捉えていたようでした。ただし、(5ドルのレンタルでは直接会って鍵を渡すには割に合わなかったので)より長期間の予約にビジネスモデルを変更しました。これにより、双方のユーザーにとってより経済的になりました。また、鍵を渡すするために会うことで、所有者と借り手のつながりが強化され、借り手は車をよりよく扱うようになり、車への損害が軽減しました。

マーケットプレイス構築でしがちな間違い ⑦ひどい名前をつける

Tripping.com(バケーションレンタルサービス)の創設者であるJen O’Neal氏は、会社名とコミュニティ名についていくつかの話をしています。

「私はこれまでのキャリアを全てマーケットプレイスの構築に費やしてきたので、参考になるような話をたくさんできると思います」

StubHub(チケットのマーケットプレイス)の元々の名前LiquidSeatsはいくつかの理由で酷いとされましたが、私がこの件でまず思い出すのは次の事柄です。

Tripping.comをドイツでローンチした初めの頃は、Tripping.comを使うユーザーのことをTrippersと呼んでいましたが、残念ながらTrippersはドイツ語で「淋病」という意味だったのです。あんまり良くないですよね。 グローバルなビジネスを構築する際には、他言語に翻訳した際に生じる問題をチェックすることをお勧めします。

「B&B = Bed & Breakfast (小規模な宿泊施設)」という用語が必ずしも容易に理解されないため、Airbnbもヨーロッパでこの問題に直面しています。

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吉澤美弥子

慶應義塾大学看護医療学部卒業。在学中に海外のヘルステック企業やデジタルヘルス企業に関して取り上げる、HealthTechNewsを立ち上げ、2016年売却。外資系証券会社の株式リサーチ部で、TMT市場に関わる調査アシスタントなどを経て、500 Startups Japanに参画。

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