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マーケットプレイスのスタートアップがしがちな、14の致命的な過ち【後編】

メーカーと小売店を繋げるマーケットプレイス「Storefront」の創業者で、500 StartupsのEIRのTristan Pollock氏が、マーケットプレイスを展開するスタートアップがしがちな14の過ちの後半をご紹介します。前半はこちら

同氏は西海岸のマーケットプレイススタートアップの起業家やリーダーが一同に集まるミートアップ、「Marketplace Dinners」を開催しており、これまでに、Airbnb、Odesk、eBay、Lyft、Uber、Thumbtackなどの著名な起業家やエグゼクティブを含む、250人以上の起業家とリーダー(各回あたり平均50人)が集まりました。今回はこのイベントからの学びをご紹介します。


マーケットプレイス構築でしがちな間違い⑧ フォーカス範囲が広過ぎる

TaskRabbitとZaarly(様々なお手伝いのマーケットプレイス)は、ハウスクリーニングやその他家事関連のサービスがプラットフォーム上で最も多く利用されていたことに気が付く前に、Handy(ハウスクリーニングやその他家事全般のマーケットプレイス)によって取って代わられてしまいました。

質問をしたい学生のためのマーケットプレイスStudyPoolのファウンダーであるRichard Werbe氏は、次のことが非常に難しいとわかったと語っています。

「私たちがしてしまった間違いは、あまりにも多くの分野を売ろうとしていたことでした。 私たちはひとつのサービスで30もの異なる分野を展開していました。そうなると、管理するのが難しかったので、結局ギリギリOKというレベルでしかサービスを提供できていませんでした。その後、私たちは学問という一つの分野に絞って展開することにし、それがきっかけでトラクションが伸びはじめたのです。」

つまり、現在の特定の分野の市場が十分に大きくかつ成長していることを確認し、その上でそこを支配しましょう。

マーケットプレイス構築でしがちな間違い⑨ 供給サイドのサポートを継続できていない

マーケットプレイス内のSNSは一般的なものになりました。ホスト同士でチャットができるAirbnbのグループプラットフォームや、ホストとゲストがミートアップについてオープンに話すことができるCouchSurfingのフォーラムといった形式に関わらず、社会的なつながりはマーケットプレイスにおいて重要な役割を果たします。

大規模なオンラインコミュニティを管理している人にとっては、オンラインコミュニティの変化がもたらすダイナミクスには驚かないでしょう。

Lyftは創業初期、非公開のFacebookグループを立ち上げました。これによって、ドライバーは他のドライバーとつながることができました。他のドライバーが共有した知見にアクセスすることができますし、Lyftもコミュニティからのドライバーのリアルタイムな反応を得ることができます。

しかし、Lyftのコミュニティが規模を拡大するにつれて、ドライバー間の個人的なつながりを形成するのは困難になります。1万人が参加するコミュニティルームと数百人のルームとではと同じように繋がることはできません。

最終的にLyftは、グループの構造をより関連性があり、小規模にするために切り替えました。これにより最初の頃にドライバーが経験していた、パーソナライズされた感覚を取り戻すことができました。マーケットプレイスが大きくコミュニティに依存している場合には、規模の拡大に伴ってどのように変化するかを念頭に置きましょう。

マーケットプレイス構築でしがちな間違い⑩ 高い手数料率にこだわり過ぎる

oDeskの元CEO(Elanceとの合併前)であり、現在PolarisのベンチャーパートナーであるGary
Swart氏は、この間違いにとらわれていました。

彼は次のように説明しています。

「私が学んだ大きな教訓の1つは手数料率にありました。 私たちは取引額の30%を手数料として請求していて、手数料率を変更する(つまり、低くする)という決定を下すのに苦労しました。しかし、最終的にそのように変更したことで、成長と全体の成功に貢献しました」
This experiences is chronicled here by Bill Gurley of Benchmark.

この経験はBenchmarkのBill Gurley氏によってここに詳しく記録されています。

マーケットプレイス構築でしがちな間違い⑪ 量か質か(の片方を選んでしまう)

Gary Swart氏はマーケットプレイスにおいて、量も質も非常に重要であることに焦点を当てるべきだと言います。

oDeskの創業初期、私たちは買い手と売り手の両方を厳選していました。その結果、コンバージョン率は非常に高く、成果物の質は素晴らしいものでした。

このアプローチの問題点は、スケーラビリティがないということでした。 私たちは、買い手と売り手の両方の獲得にスケールの成約になっていたので、より速くスケールするために関与を減らすことに決めました。 その結果、買い手と売り手の厳選を行わなくてもスケールできるだけのプロダクト体験を構築することに、私たちは集中せざるを得なくなりました。

しかし、このスケーラビリティにより、我々は品質を犠牲にしたのです。そしてそれは究極的には長期に渡って私たちを苦しめることになりました。

マーケットプレイス構築でしがちな間違い⑫ 十分な付加価値を提供することなく、中抜きを防ごうとする

すべてのマーケットプレイスは、中抜きやプラットフォームを離れていってしまうユーザーをうまく管理しています。

これはマーケットプレイスに共通する問題ですが、取るに足らない中抜きは必ずしも重大な問題にはなりません。マーケットプレイスを介して顧客に提供している価値を知ることは重要なことです。自分たちの上位2〜4位にランクインしているユーザーから評価されている価値を理解することで、顧客にとって重要なことがわかるでしょう。

中抜きの程度が問題になるレベルになったと判断できる兆候の傾向はあるのでしょうか。

  1. まず、マーケットプレイスのファネルの各段階を見て、ユーザーの行動がファネルのどの段階にあたるかに集中しましょう。
  2. それにより、ユーザーが評価しているマーケットプレイスとしての価値と、ユーザーが仲介業者離れをしてしまうシーンを比較できます(もしくはアクティベートする際に何か他の問題があると実証できるでしょう)。そしてユーザーに対しあなたの価値を明確に、真実味があるように伝えることができます。
  3. 最後に、ユーザーから入手したコメントをトラッキングデータと組み合わせ、テストし反復改善できる仮説を作成します。

Storefrontでは、借り手サイドの第2ステップである、主にマーケットプレイスの決済部分にフォーカスしていました(それが「Airbnb for Retail」と呼ばれている理由です)。しかし、最近、第1ステップである短期間の小売スペースの検索がさらに重要だとわかりました。 その結果、新しい発見があり、プラットフォーム上でより小売スペースにアクセスしやすくなるような新機能を提供できるようになりました。

マーケットプレイス構築でしがちな間違い⑬ 供給サイドの顧客に過剰に迎合する

Radico(マーケットプレイス向けのマーケティングツール)の創設者であるJason Davis氏と
Etsyの検索とデータを担当する以前のディレクターは、次のことを学んだと言います:

Etsyの検索ボックスは、ローンチから数ヶ月後の2005年に導入されました。実装は非常に基本的なもので、データベースから新しい順に結果を取ってくるだけの単純なものでした。その検索ボックスの導入は効果があり、その当時は十分なものでした。

(インターネットのアーカイブ保存サイトWayback Machineより、当時のEtsyホームページのスクリーンショット)

しかし時間がたつにつれて、売り手は新しい商品がより検索結果の上位にでることで重点的にプロモーションされ、古い商品が検索結果に出てきづらくなってることに気づきはじめました。

売り手はまた、たった0.2ドルの掲載費用で商品を再掲載でき、それによってデータベース内のタイムスタンプを更新し、商品を検索上位に戻すことができるとわかってしまったのです。

2009年まで、再掲載は間違いなく「まあ、そういうこと」として確実に存在し、Etsyの収益の大部分を占めていました(再掲載1回につき0.2ドル)。しかしそれと同時に、Etsyのマーケットプレイスには500万件を超える商品があり、検索の質と買い手サイドの体験は非常に落ちていきました。

Etsyは最終的に、この問題を解決しましたが、ここにでは詳細には触れません。 それは会社全体を賭けた、巨大プロジェクトだったのです。

このことから、マーケットプレイス、買い手、売り手のバランスについて教訓を得ました。

売り手は彼らの中で最も主張が大きく、自分たちの利益を追求するために必ずしもマーケットプレイス全体の体験とはそぐわない行動をします。

買い手はあなたの成功を判断する、沈黙の裁判官です。彼らを正しく扱うことで、お金を使ってくれるでしょう。そうでなければ静かに離れていってしまうだけでしょう。

そしてもちろん、マーケットプレイスは、事業としての目的を達成することができるような持続可能なサービスの提供によって収益を上げる必要があります。

マーケットプレイス構築でしがちな間違い⑭ マーケットプレイスは簡単にEXITできると考えてしまう

最後に、マーケットプレイスはエキサイティングで人々に力を与えるようなビジネスですが、グロースするのが非常に大変なビジネスでもあります。

マーケットプレイスはプロダクトマーケットフィットに到達し、実際にトラクションがでてスケールするまでに時間がかかり、あなたの目を釘付けにしたようなマーケットプレイスのベンチャーの多くは、5〜10期目の企業であったりします。実際にEtsyは2005年に創業し、10年後の2015年をIPOの目標とし、2015年4月にNASDAQに上場しました。Airbnbは130億ドルの評価額に達するまでに、7年かかりました。

大きく、高尚で、人々と世界にポジティブな影響をもたらすという情熱とビジョンを持って、マーケットプレイスを構築することを忘れないでください。

【原文】


Tristan氏について

世界で最もアクティブなベンチャーキャピタル、500 StartupsのEntrepreneur in Residenceで、メーカーと小売店を繋げるマーケットプレイス「Storefront」を創業し、世界中のクリエイティブな人々に力を提供してきました。

ニューヨークタイムズ紙はStorefrontを「Airbnb for Retail」と呼び、同プラットフォームでは現在までに1,000店舗以上がオープンされてきました。

彼が立ち上げた最も新しいスタートアップ「Social Earth」は、ハフィントンポストから「世界25ヶ国で貢献する、200の社会起業」のうちの1つとして取り上げられ、2012年に3BL Mediaに買収されました。

彼はまた、2015年にForbes 30 Under 30に選出され、Best Buyで全国的規模のマーケティングを指揮し、2300万人の顧客にリーチする、最も読んでもらえるメールを創り出しました。ミネソタ出身のメーカーの家系であるTristan氏は現在、サンフランシスコに拠点を移し、活動しています。

吉澤美弥子

慶應義塾大学看護医療学部卒業。在学中に海外のヘルステック企業やデジタルヘルス企業に関して取り上げる、HealthTechNewsを立ち上げ、2016年売却。外資系証券会社の株式リサーチ部で、TMT市場に関わる調査アシスタントなどを経て、500 Startups Japanに参画。

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