スタートアップのためのPRとリーダーシップ (1)

スタートアップのための、PRとリーダーシップ

今回は、前回の「スタートアップのためのPR – プレスリリースの作り方」に引き続き、PublicizeのCEOで500 Startupsのメディアリレーションシップ及びPRの専門メンターであるConrad Egusa氏のブログをご紹介します。

PRは、スタートアップにとって非常に有益なものになり得ます。グロースを促進する一度きりのものではなく、あなたの取り組みを長期的に加速させることにもできます。

今回は、スタートアップが初期の「バズ」を超えてPRを拡大し、顧客と潜在的な投資家に影響を及ぼす「ソートリーダーシップ(Thought Leadership)」の基礎を確立する方法についてご紹介します。


あなたはビジネスにおいてまだ発表があるわけではないですが、メディアに取り上げて欲しいと考えているのでしょうか。他のスタートアップや事業の中から、継続的に際立っている必要があることを考慮すると、できるだけあなたの名前とビジネスをプロモーションすることが理にかなっているでしょう。 結局のところ、公衆でのプレゼンスを維持することが、ビジネスの様々な成功において重要な要素となるのです。 しかし、発表できる新しい何かがないときに、どのようにメディアに出れば良いでしょうか?

以前500 Startupsのブログで説明したように、良い広報、つまりPRとは、すべて、ある領域に焦点を当て自分のものにすることです。 強力なPRプロセスは、プレスリリースによる発表とゲスト記事の2つの大きな柱によって支えられていて、成功したキャンペーンをみてみるとこれらが非常に重要ということがわかります。 前回の記事では、プレスリリースに焦点を当て取り上げましたが、PRは何かを発表するだけではないことを認識することが重要です。 第2の柱であるゲスト記事によって、信用できる公のイメージを構築し、維持することが可能です。

創業者やCEO、その他のビジネスオーナーが業界のリーダーを目指す上で、ゲスト記事が役に立つでしょう。 自分自身を特定の分野、または特定の業界に関する権威として確立することは、将来の報道と後々のメディアの関心を確実にできる優れた方法です。

しかし、ゲストの記事を書くための最良の方法はなんでしょうか? そして、それを正しい出版物にどのように投じればよいのでしょうか。

実際にゲスト記事を活用する方法

ゲスト記事は、洞察、意見、アドバイスを提供するプラットフォームとしての役割を果たすだけでなく、現在の業界での議論に加わることもできます。 例えば、もし会計企業の場合なら、今後の会計業界の見通しに関する記事を作成することで、あなたはその領域のソートリーダーとして位置づけられます。 あなたはまた、自身の考えがオンラインに出ることで、将来メディアなどがあなたについて引用する可能性が高いことも分かるでしょう。

これらの記事の範囲は、あなたの知識、経験、そしてあなたの想像力によってのみ制限されています。

適切にゲスト記事が掲載されることで、あなた自身とあなたのビジネスへの注目が集まるようになるでしょう。これによってソーシャルプルーフの基礎が築かれるでしょう。つまり、強いレピュテーションを獲得でき、さらに将来メディアによる取材を受けられることを意味しています。

真のソートリーダーシップ

ゲスト記事を成功させるには、すべてにおいてオリジナルで面白いアイディアが必要です。

ゲスト記事を成功させるためには、元々興味深いアイデアが必要でしょう。結局のところ、すでに何百回も議論されているようなことについて、誰かが再び台無しにした議論など読む人はいないでしょう。 これはソート(思考)リーダーシップとして知られているものです。 ゲストの記事の目的は、権威ある方法であなたの考えや意見を伝え、業界のパイオニアとしてあなたとビジネスを確立することです。ですから、あなたが何を書いて、何を言いたいのか考えることは非常に重要です。 あらかじめ研究してください。

同様に、あなたの専門分野の範囲内で、記事の計画をするようにしましょう。 確かに、誰が米国の次期大統領になるべきかということについて、意見はたくさんあるかもしれません。しかし、あなたの専門知識がSaaS企業に関するものであれば、大統領に関してのあなたの記事を誰も読みたいと思わないでしょう。

また、セルフプロモーションでもないことを覚えておいてください。 あなたが働く業界で、何がおきているかだったり、どんな影響があるのかといったことについて考えましょう。仮にあなたが会計のソフトウェアの会社を立ち上げたとしたら、あなたの会社についての記事はセルフプロモーションにすぎませんが、業界のトレンドや問題といったことや、あなたがその領域の創業者として学んだことなどについて考え、議論することもできるはずです。これが間接的に会社に利益をもたらすでしょう。

もしゲスト記事に関してアイディアが浮かばないようでしたら、以下の質問を自分自身に投げかけるところから始めるのをおすすめします。

  • あなたが最初に始めた時には知らなかった、業界について学んだ3つのことは何でしょうか。
  • あなたの会社の業界のために、親友のようにアドバイスを与えることができたら、それは何でしょうか。
  • 次の年に、あなたの業界に影響を及ぼすと考える、3〜5つのトレンドは何でしょうか。

Entrepreneur Magazineに掲載されたトピックを参考にしてください。

Publicizeでシニアライターを務めるCraig Corbett氏が、Entrepreneur Magazineにゲストライターとして寄稿した記事

メディアをターゲティングする

次に、この記事を最終的にどのメディアに掲載するかを考える必要があります。 散弾銃のように数を打てばあたるというアプローチはここではうまくいかず、複数のメディアに掲載されることはできません。 ですから、あなたの記事をターゲティングするのが現実的でしょう。会社がニッチな話題にフォーカスしているのなら、もっと大きなメインストリームのメディアではおそらく受け入れられないでしょう。ほとんどのメディアは特定のフォーマットに従い、文章の長さも決められています。

これらのメディアをターゲットとした時、あなたとそのターゲットオーディエンスについて考えることができます。 それぞれのオーディエンスは互換性がありますか? そうでない場合は、あなたが書いているテーマにもっと密接に関連したメディアを見つけてください。 たとえば、起業家のアドバイスについて書いている場合は、「Entrepreneur Magazine」など、起業家向けのメディアを選びましょう。 あなたのセクターとは関係がない場合は、タイトルや名前を追って貴重な時間を浪費しないでください。

(メディアが掲載してくれることを見込んで)完成原稿を送る

あなたの記事のために必要なことを把握したら、次は執筆を開始しましょう。 その時に大事なのは、原稿を書いても良いか尋ねるメールやドラフトを送るのではなく、最初から編集者に対し、完成した記事を送ることです。 これは「メディアが掲載してくれることを見込んで」完成版の記事を最初から送信することとして知られています。 つまり、編集者やジャーナリストが読んで評価するために、完全で完成した記事を送ることを意味します。 繰り返しますが、これはフィードバック用の下書き原稿を送るということでは決してありません。

最終的に掲載してもらえるようアプローチする相手はとても忙しい人達なので、不器用に自己紹介してしまったり、下手にアイディアを共有することで、お互いにせっかくの機会を無駄にしてはいけません。

起業家がしがちな間違いは、最初に編集者に連絡する際に記事のアイディアを送ってしまい、返信をもらえないということです。いったん編集者との関係を築いてしまえば、記事のアイディアだけでも提案できますが、最初の記事の場合はまず書き終えることが大切です。まずは完全に記事を完成させ、それから掲載してもらえる可能性のある出版物に連絡しましょう。そうすることで次の章の宣伝につながります。

そして宣伝する

ゲスト記事の発表と、プレスリリースの発表は異なるものです。 前述したように、ゲスト記事の場合、公開できるのは1つのメディアだけに限られます。もし複数の編集者に送信し、両方が公開してしまった場合、次に記事を出す際にはブラックリストに載ってしまうことを覚悟しましょう。

記事を提案する際には、編集者に対し、議論の概要と、著者のバックグラウンドと専門知識に関する自己紹介も提供しましょう。文章を書き終えた後、コンタクトするメディアが過去にゲスト記事を掲載したことがあることと、彼らのスタイルに合わせた文章を書いているかをダブルチェックしましょう。

下のメールは、TechCrunchに対しゲスト記事を掲載してもらえるか訪ねたときのメールです。

PublicizeのCEO、Conrad Egusa氏がTechCrunchに対し送ったメール

1つの画像は、1000の言葉よりも多くを語る

昔からある格言は真実を語っているでしょう。あなたやあなたのチームの写真を追加することで、別のレイヤーから聴衆があなたを認識してくれるようになります。数多くの無名の起業家やCEOが、記事の横に自分や会社の写真を掲載することで、自分のプロフィールに対する一般の注意を集めることができます。

画像や動画はテキストよりも強力なコミュニケーション媒体です。 ゲスト記事と一緒に画像や動画を使用することで、潜在的な顧客や投資家の印象を高めるのに役立ちます。

スマートフォンやその他のデバイスが普及したことで、あなたやチームのビデオや写真を撮るのが簡単になりました。 一方で究極のプロフェッショナルなタッチが必要な場合は、写真家を雇い、あなたとあなたのチームの写真を撮ってもらいましょう。

シェアをし、コンテンツを配信する

上手くいったプレスリリースの提案がニュース記事になるように、ゲスト記事が公開されると、それを広範囲に共有する必要があります。 TwitterやFacebookなどのSNSは、新しく公開された作品を宣伝する素晴らしいプラットフォームですが、あなたの記事を投資家、クライアント、従業員にメールして、さらにエンゲージメントする必要があります。 会社のブログを持っている場合は、ゲストの記事へのリンクを投稿して、あなたのウェブサイトにアクセスしたすべての人にも閲覧できるようにすることができます。

記事がオンラインになったら、Medium.comやLinkedInなどのプラットフォームで再投稿することをおすすめします。すでに他の場所に公開されていたことがわかれば、メディアはあなたの作品を公開しない可能性が高いため、まず寄稿先のメディアで最初に記事を公開することが重要です。

原文記事


Conrad Egusa氏はPRとメディアを専門とする、PublicizeのCEO。500 Startupsのメンターも務めています。 TechCrunchやForbesといったメディアに定期的に寄稿もしています。

シリコンバレーでエンジェル投資家から調達し、スタートアップを立ち上げた後、VentureBeatのライターなどを務めていました。

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吉澤美弥子

慶應義塾大学看護医療学部卒業。在学中に海外のヘルステック企業やデジタルヘルス企業に関して取り上げる、HealthTechNewsを立ち上げ、2016年売却。外資系証券会社の株式リサーチ部で、TMT市場に関わる調査アシスタントなどを経て、500 Startups Japanに参画。

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