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ベンチャーキャピタルというビジネス

私にとって、ベンチャーキャピタリストになることは、必ずしも当初からの人生の目標ではありませんでした。他の多くのVCもそうであるように、気付いたらこの職業についていたのです。自分で興した会社を去ってすっかり疲れ切っていた頃、少しだけ落ち着いて、そして今までとは別の経験を積むという意味でいい所だなと思って、DeNAの投資部門で働くことにしました。起業家側から投資家側に転身すれば、多くの業界について学ぶ機会が得られるし、運が良ければ新規事業のアイディアも浮かぶかな、と思っていました。また、自分の会社だけでなく、多くの会社の状況を俯瞰できる、とも思いました。さらに、次の起業の土台づくりに利用できる強いネットワーク作りができることにも期待していました。

これらの思いはどれも当たっていました。それでも、自分ではさすがに予想していなかったのが、1) 投資家であることがこんなにも楽しいこと、そして、2) 500 Startupsの日本ファンドを立ち上げるチャンスが到来したこと、でした。500 Startupsから声をかけてもらったとき、使命感のある重要な仕事だという認識を持ちした。シリコンバレーの多くのVCは、中国、インド、そして東南アジアの一部地域には投資しているのに、日本に目を向ける人はほとんどいませんでした。当時、日本のスタートアップ・エコシステムは成長し始めたばかりでしたが、成長のスピードはひしひしと感じていました。また、日本のスタートアップ業界が世界との接点を失いつつあると感じていたので、言語や文化の壁を超えて、日本のスタートアップ・エコシステムをブラックボックスにさせない人物が必要だとも思っていました。

まず最初に澤山に500 Startups Japan立ち上げの話をしました。澤山のことはもう何年も前から知っていて、いつか一緒に起業したいけど、具体的に何をして起業するのかイメージがまだ湧いていないような状況でした。幸いなことに、神田の古い居酒屋で提案したにも関わらず、30秒もしないうちに「よし、やろう!」と即答してくれました。2人ともVCになるつもりなんてなかったのに、その瞬間から、一緒にベンチャーキャピタル・ファンドをはじめることになったのです。

いざはじめてみると、ベンチャーキャピタル・ファンドをはじめることは、思ったよりも起業に似ていることに気付きました。資金調達、事業(投資)のストーリー(戦略)作り、そして自分たちのマーケティングを行う必要があったのです。500 Startups Japanの顧客(起業家たち)のニーズを特定し、そのニーズに応える方法を考えなければなりませんでした。ファンドをクローズした後は、人材の採用とマネージメントを行い、企業文化について考えなければなりませんでした。起業家のときの方がストレスは遥かに大きかったけど、VCとして挑んだ様々な課題は意外なほど馴染みのあるものばかりでした。

私と澤山はいずれも伝統的なベンチャーキャピタルの出身者でないことが、500 Startups Japanのチーム作りに影響しています。ほとんどのベンチャーキャピタルでは、1人のパートナーが1社の支援先企業を担当します。500 Startups Japanの場合、チームが一丸となってすべての支援先企業をサポートしますが、各自が自分の強みを活かせる分野を担当します。大体私が資金調達を担当し、澤山がファイナンス、吉澤は広報、津田は採用、そして久門がイベントを担当、小林が全体の調整役になります。私たちの場合、チーム全体が、各起業家の各ニーズを支援します。つまり、500 Startups Japanが投資をする場合、1人のパートナーとしか組めないということはありません。いや応なしに私たち全員がついてきちゃいます!

未だに自分のことをベンチャーキャピタリストだとは思っていません。ビジネスを経営していて、そのビジネスがたまたまベンチャーキャピタルだったと思っているだけです。他のどのビジネスもそうであるように、一歩先を進むためには前進し続けなければなりません。マインドシェアを維持するためには、サービスの改善を続け、自分たち自身を売り込む必要があります。最高の人材を採用しなければなりません。そして、起業家を支援するときには最高のサービス水準を維持し続けなければならないのです。

James Riney

Managing Partner & Head, 500 Startups Japan

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