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初公開!500 KOBE ACCELERATORの舞台裏

500 Startupsと神戸市が開催する、日本初のグローバルアクセラレータープログラム「500 KOBE ACCELERATOR」

500とのコラボなど先進的な方法を取り入れ、神戸の産業を活性化させる、神戸市新産業創造担当課長の多名部重則氏に、プログラムの舞台裏について寄稿していただいた。

米国・シリコンバレーに本社を置く世界で最もアクティブな、アクセラレーターおよびシード投資ファンド「500 Startups」による「500 KOBE ACCELERATOR」が始まる。このプログラムでは、参加企業のCEOらが神戸に4週間滞在することが要求される。それにも関わらず、毎年200社を超える申し込みがある。いったい、会場では何が行われ、どんな雰囲気なのかを知りたいという問い合わせは多い。しかし、主催する立場の私でさえ説明しにくい異次元な空間なので、その実態を明らかにするために、昨年の参加企業に緊急インタビューを行った。

「直球」過ぎるメンターとフレンドリーなEIRに囲まれて

「はっきりものを言うメンターたち、ほんと怖かったです」と話すのは、事業自体を大きく見直し、今年7月に新サービスをローンチした株式会社コンパスCEOの大津 愛さん。キャリアカウンセリング(職業相談)をチャットで行い、人材獲得を狙う企業とのマッチングサービスを提供する。これまで国内のプログラムで日本人メンターの指導を受けたことのある彼女にとって、500 KOBEは異質だった。

それもそのはず、日本ではメンターと名乗っていても、実際は大企業の役員や管理職が務めることが多い。起業経験者がメンターになることもあるが、大型M&AやIPO経験者は少数派である。ところが、シリコンバレーでトップメンターであり続けるには、イグジット経験があるだけでは難しい。投資家としての経験もあり、その経験の中で培ったマーケティング、グロースハック、UX/UI、投資法務といった何かしら専門分野が必要とされる。一家言を持つ得意分野だからこそ、ストレート過ぎる助言を吐く。

私も目の当たりにしたが、彼らはサービスの開始時期、資金調達の状況、足元のアクティブユーザー数から直感的に最適バーンレート(月々の必要資金)をはじき出し、次の資金調達までの道程を瞬時にイメージする。そこから外れたバーンレートのスタートアップ企業には容赦ない。「残念だが、調達前にお前の会社は間違いなく死ぬ」と言い放ち、事業計画の見直しを迫る。

昨年は28名のメンターたちが世界中から召集された。この中の3人がプログラムの初日から最終日のデモデイまで参加者とともに過ごす。一人はバッチリードと呼ばれるプログラム全体の統括者。残りの二人はEIRと呼ばれる。EIRは、Entrepreneur in Residenceの略で厳密には彼らはメンターではない。起業で成功した者でもない。文字どおり「住み込み起業家」として参加者に伴走するのだ。昨年の場合は参加したスタートアップ20社を2つに分け、10社ずつ2名のEIRが担当した。学校でいう担任の先生のような存在だ。

普通に考えれば、レクチャーとメンタリングの時間割を決める事務局とメンターだけでプログラムは成立する。ところが、この「参加者→EIR→メンター」という3層構造が実に良くできている。前述の大津さんによると、EIRのAjay Chainaniさんから、はじめて会うメンターとの面談を前に、「あのメンターはストーリーテリングのプロだから、このスライドをしっかり説明して、アドバイスをもらえ」と助言を受けた。さらに面談後には「さっき無茶苦茶いわれたけど、彼は誰にでもストレートに話をする。アドバイス部分だけ覚えておけばよい。彼にダメだと言われたスタートアップほど成長している」とフォローがある。

シェアハウスな秘密基地

プログラムは、デザイン・クリエイティブセンター神戸(KIITO)で行われる。1927年に輸出生糸の検査を行うために、横浜と並んで神戸に作られた旧生糸検査場。日本各地で生産された生糸はここに集められ、検品・ラベルが貼られ世界中に輸出された。世界に羽ばたこうとする起業家が挑戦する場として、ふさわしいヒストリーを持つ。初めてプログラム会場に足を踏み入れる500 Startupsのメンターたちですら、思わず笑みがこぼれるこの空間には、にわかに信じがたいが、シリコンバレーの風が吹く。

前述の大津さんは「あそこは秘密基地。本来は西海岸に行かなければリーチできない世界最先端の知見とノウハウが詰め込まれている」と話す。認知機能を測定し認知症への対応策を提供する株式会社トータルブレインケア社長の河越眞介さんは、「普通のコーワーキングスペースはマンションだが、500KOBEは(入居者の交流がもっと密な)シェアハウスだ」と評した。たしかに、デモデイに向けたビジネスプランに磨きをかけるシード・アーリー段階の起業家しか参加していない。彼らのビジネスが、先端テクノロジーとデータを駆使し、これまでに存在しないサービスを生み出す点も共通している。初日は全員が初対面であるが、参加者間の話が弾まない理由はない。ときには技術やノウハウだけでなく、エンジニアの貸し借りすら行われる。

国内では、年間100を超える「アクセラレーター」と呼ばれるプログラムが運営されている。しかし、大企業の新規事業開発を目指したものがほとんどだ。米国シリコンバレーのアクセラレーターは、Y Combinatorや500 Startupsといった投資ファンドが運営する。投資ファンドの狙いは、スタートアップの企業価値を上げることにあり、ビジネス拡大に必要となる次の資金調達を達成することに主眼が置かれる。実際に500 KOBE ACCELERATORの過去2回の参加企業38社のうち、22社がデモデイ後に調達(うち2社はM&A)し、総額は20億円を超える。最終エントリーの締切は9月14日、我こそはという起業家の挑戦を待っている。

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