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起業家とのミーティングの際に意識している、VCとしての態度

こんにちは、500 Startups Japanの吉澤です。2年前に500 Startups Japanにマーケターとしてジョインしてから、ファンドとしてのマーケティングやPRを行ったり、投資先のPRを支援をしながら、アソシエイト業務も行ってきました。最近ではSNSやブログ、掲載いただいた記事を見て連絡をくださる起業家さんも増え、VCとしてマーケティング活動にリソースを割いてきた結果が出てきているように感じています。そしてこの3月より、ポジションもシニアアソシエイトに変わり、新規投資先の獲得により専念するようになりました。

毎日起業家とお会いする中で、VCとしてどのような姿勢や方法で起業家とのミーティングに挑むべきかということは日々考えます。国内でも増えたとはいえ、まだまだ従事している人も少ないVC業界においては「良いVCになる方法」といった成功のセオリーもなく、自分の会社のパートナーを見た上で、そこから自分で考える必要があります。

500 Startups Japanでは、James Rineyと澤山陽平の2名がマネージングパートナーとして投資を行っており、私はどちらかのアソシエイトというわけではなく2人と一緒に仕事をするので、全く違うスタイルの2人のパートナーから学ぶことができます。今回はアソシエイトとして、異なるパートナーから日々それぞれ学んでいる「VCとしての起業家との接し方のスタイル」と、その中で今現在自分が意識していることについてご紹介したいと思います。

500 Startups Japanの起業家との関わり方

James、陽平さんともに共通して強く意識していることは「起業家の時間を大事にする」ということです。「事業そのものに専念したいタイミングのアーリーステージの起業家の時間」を使っているということを強く意識するよう私も一貫して言われています。

・Jamesの場合
初回のミーティング時間を30分に設定し、限られた時間の中で重要な話を全て聞くことで、余計な時間を使わないよう意識しています。米500の元パートナーの Elizabeth Yin氏は初回のミーティングは20分が好ましいとブログで明らかにしていますが、日本の場合には1時間でセッティングされることが多いのではないでしょうか。ですから、「それで会社のこと本当にわかるの?」と、短いと感じる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、私はJamesと起業家の初回ミーティングに同席してきましたが、足りていないと感じたことはありません。

確かに、起業家には15~20分で会社のことや事業のこと要点を余すことなく伝えるピッチの技術が問われますが、決められた時間で会社の魅力を伝えるのは何も投資家との会話だけでははなく採用やインタビューの時など、人を動かそうとするような様々なシーンで経営者に求められるスキルでもあると思います。なので、それをできるようにすることは決して無駄なことではありません。Jamesは20分でピッチをお願いし、そして残り10分間でVCとディスカッションすることで、非常に短い時間の中でネクストステップを明確にするのです。

実際にJamesのコミュニケーションには無駄はなく、過剰なアイスブレイクや、遠回しな表現はありません。これは日本のカルチャーからすると少し違和感があるかもしれません。初めて会う人とは天気の話をし、Facebookの共通の知人の話で距離を縮める方が好ましいと思われるかもしれません。しかし、起業家にとってもVCにとっても時間が何より大事なことは間違いなく、余計な表現などはむしろ混乱を招く可能性があるため避けられるのであれば避けた方がいいと私も感じています。私自身は留学経験もない生粋の日本人ですが、Jamesと2年間一緒に働いた身としても、曖昧な表現や余計な表現がないボスとは、非常に仕事しやすいなと感じます。

この彼の「単刀直入」なスタイルはチームだけでなく、投資先起業家とのコミュニケーションにも出ていると思います。私たちはハンズイフという支援スタイルをとっていることを以前ご紹介しましたが、そのスタイルもこういった「無駄を省き、事業の成長といった目的を一緒に達成することにフォーカスしたい」というJamesらしさが出ていると思います。

・陽平さんの場合
陽平さんの場合には、ミーティングの時間は初回でも1時間にセッティングされています。Jamesが30分でミーティングを終えることを考えると、1時間は少し長く感じることもあります。しかし、陽平さんが重視していることは「起業家が得れる学びの大きさ」です。澤山さんはおよそ半分の時間でピッチをきき、そのあと10分ほど質問をする以外に、「アドバイス」に多くの時間を割きます。起業家に質問された場合だけでなく、困ってそうだなとミーティング中に感じると、過去の事例や他の選択肢といった話を聞かれなくても提供します。

これについて、昔質問したところ、「起業家が今日僕と話して、何か少しでも多くのことを得て帰ってほしい」とその理由を語っていました。陽平さんは投資家として出資の意思決定以外に、何を自分から起業家に提供できるかということについて非常に考えていると感じます。また、アーリーステージの起業家は必ずしもピッチに慣れている訳ではないので、短い時間で要点を聞ききるのは難しかったりします。陽平さんはその点を踏まえて、起業家の良いところをできるだけ聞き出すために時間を多めにとっていると話していました。

このスタンスは500 Startups Japanのチームのマネジメントスタイルにも出ているなと感じます。資金調達のことやマーケットのことなど何か陽平さんに質問すると、質問以上にたくさんの答えをくれます。そして資金調達のことに関しては、社内でも様々な質問が上がったことがきっかけで、社内向けに非常に丁寧な勉強会を定例で開催してくれるようになりました。既存のVCとしてのベンチャーファイナンスの話だけではなく、今の問題点や今後できる改善策や将来像といった話は他ではなかなか聞けませんし、何を聞いても答えてくれます。最近では社内のファイナンス勉強会をより多くの人に提供できるようにと、一般の起業家向けの小規模ファイナンス勉強会も開催しています。

このように、ひとえに「起業家の時間を大切にする」ということでもJamesでも陽平さんでも大きく違うように感じました。二人のスタンスからたくさんのことを学ぶ中で、私も試行錯誤を重ねました。

500 Japanのアソシエイトとして起業家に提供できることとは?

資金調達を考えている起業家にとって、パートナーに最初から会うのではなく、一度アソシエイトである私と会うメリットはあるのか?もちろんアソシエイトに事前に会い、アソシエイトを味方にすることで投資決定の際にVC社内からも推してもらえるという意味ではもちろんあります。ただ、それだけであれば、やはり直接パートナーに会った方が割く時間は短かくて済みます。

その中でアソシエイトの存在意義を模索した結果、社内のパートナーの投資の意思決定を支援するだけでなく、資金調達を考えている起業家の意思決定の支援することを意識することが私の中で重要ではないかという答えが出ました。

500 Startups Japanの投資方針や投資基準、投資フロー、提供している価値について明確に伝えた上で、起業家ごとに出資の可能性やその理由をなるべく明確に示します。これは500について知ってもらった上で、他の調達方法やVCについても情報を提供し、どの調達方法がその起業家にとっていいかどうか考える材料を提供できるよう意識しています。調達経験がない起業家にとって、VCごとの特徴や方針の違いはまだまだ不透明な点も多く、知らない状態で調達を進めるのはお互いにとってよくないと思うからです。

他の選択肢も踏まえて検討してもらい、起業家の経営スタイルや会社やプロダクトの状況など踏まえて500から調達したいと思ってもらえたらネクストステップに繋げます。必要な支援はスタートアップごとに異なりますが、パートナーミーティングに向けてピッチにフィードバックし必要な情報を整え、最適なタイミングでつなげるように調整しています。なので、パートナーや他の人に聞き辛いことを質問してもらえるようにしたり、私以外にどんな人に相談すべきか考えています。そういった意味では、話しやすい雰囲気が作れるよう、Jamesよりアイスブレイクも重視しているかもしれません笑

とはいえ、どういった姿勢でいることが一番いいのか、どういう内容のアドバイスが一番有意義かはまだまだわかりません。なのでしばらくしたら今の私のスタイルも変化している可能性もあると思います。

同じように悩んでいるVCの若手や、起業家の方はぜひお話ししたいなと思います。そして、こういう考えで起業家に会っている私たちとお話ししたいと思ってくださった起業家の方はぜひ、オフィスアワーにご連絡ください!オフィスアワーではパートナーを指名することもできますので、合ってると思う担当者を選んでもらえればと思います。

Miyako Yoshizawa

慶應義塾大学看護医療学部卒業。在学中に海外のヘルステック企業やデジタルヘルス企業に関して取り上げる、HealthTechNewsを立ち上げ、2016年売却。外資系証券会社の株式リサーチ部で、TMT市場に関わる調査アシスタントなどを経て、500 Startups Japanに参画。

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