Elizabeth Ying

投資家にピッチするのにベストなタイミングとは?

この記事は、500 Startupsのパートナーを務める、Elizabeth Yin氏のブログを翻訳したものです。Elizabeth氏は投資家になる前に共同創業者としてアドテクのスタートアップ、LaunchBit (2014売却)を立ち上げました。資金調達という不透明なことが多いプロセスについて、Elizabeth氏はより起業家にとってオープンなものになるよう明らかにしていくことを目指しています。


数週間前、私はVCのパネルにモデレーターとして参加し、投資家の注目を集める最善の方法について話しました。 パネリストの1人は、「イベント会場で突撃してくるのは最悪の方法だ」と語っていましたが、私は考えれば考えるほどその意見は違うと感じました。ですから、異を唱えたいと思います。

私自身かつて起業家だったとき、大半の投資家がどれほど忙しいかなんて全くと言っていいほど判っていませんでした。 一日中快適な椅子に座って、お茶をすすりながらサンドヒルロードのローズウッドホテル(多くのVCがいると有名なシリコンバレーのホテル)でくつろいでいると思っていました。(たしかに一部の投資家は実際にそうかもしれません・・・笑)

Originally posted by gameraboy

しかし新しいVCに関して言えば、断じてそんなことなく、あらゆる投資のために日々奔走しなければならないでしょう。また、現在のファンドやその次のファンドのために資金調達をしなければいけません。ですから、起業家はどのようにして投資家の目に留まるようにするか考えなくてはいけません。

私の1日をざっくりご紹介したいと思います。

  • 1日に平均して6〜10個のミーティングがあります。(通常1つあたり20〜30分程度)。これはすでに投資している投資先とのものもあれば、投資するかもしれない投資先候補とのものもあります。
  • 起業家とのメールのために、1日に4時間以上もの時間を費やしています。
  • 様々な場所で開催されるイベントやカンファレンスに登壇しているので、1ヶ月に平均して2~5日を出張に、ローカルのイベントに1日を費やしています。
  • 今、私の仕事用のメール受信ボックスには

– 未回答の重要なメールが80、
– 投資先候補の起業家との送受信を繰り返すメールスレッドが276、
– メールの件名が面白くないために、決して開かれない未読メールが1500以上あり、
– 残念ながらプライベート用の受信ボックスもあまりちゃんと見られているとは言えない状況です。

1) 構造化されていない時間こそが、投資家にピッチする上で最も良い場所:

カンファレンスやイベントに参加しているのなら、投資家は実際には多くの時間を持て余しています。彼らは自分のカレンダー上で◯◯時間に及ぶイベントとしてスケジュールをおさえていますが、登壇する時間枠やパネルなど以外の時間は多かれ少なかれ空いているでしょう!

最近では全部のイベントに、多くの投資家が参加しているという訳でもありませんが、もし登壇しているのなら少なくともその時間は会場に姿を現すはずです。登壇の前後に会場で彼らを見つけたときこそが、あなたのチャンスです。投資家が会場の隅のほうで電話していたり、メールしているのを見かけたことはありませんか?その時こそまさに投資家の前に飛び出してエレベーターピッチをするチャンスなのです。丁寧に、かつフレンドリーに話しかければ、投資家も決して邪魔だと感じないでしょう。

強力なエレベーターピッチは、あなたの人間性やストーリー、KPIや指標、あなたがやっていることの重要性について強調するのに役立つでしょう。しかし、ほとんどのエレベーターピッチは弱すぎます。その理由の1つに、同じように聞こえてしまったり、長過ぎたり、まとまっていなかったりといったことがあるでしょう。また、エレベーターピッチとはただ単に誰かと話すのとは違います。確かに対話ですが、ミーティングの機会を取り付けるために、短い間に十分に興味深いポイントをおさえる必要があるのです。もし投資家が興味をそそられているようだったら、そのイベントの場でより長く話すことになるでしょう。起業家と私の、これまでで最も長かった会話はイベントでの会話ですし、この2年間で私が支援してきた投資先の多くが、イベントで出会ったスタートアップです。

投資家と会った後、必ず強力な次のアクションステップがあることを確認しましょう。「私にメールしてください」と言わせてしまうのは、次のアクションステップとしては弱いので、投資家の受信ボックスにリーチするのは避けるべきです。強力な次のアクションステップとは、ミーティングを確定してしまうことです。そのイベント自体の別の時間を約束したり、また後日の別の時間でも良いでしょう。しかし日程を抑えるべきですし、最低でも投資家のエクゼクティブアシスタントに繋いでもらうべきです。

2) メールの受信箱の中で目を引くことは難しい

メールの受信箱は誰でも混み合っているものです。しかし、もしメール経由で投資家と接触する必要がある場合には、以下のようにしましょう。

ある点においては、投資家と出会う方法として、人からの強い紹介が素晴らしい方法だと言う人がいる理由でもあります。紹介が本当に強いものであるのなら、たしかにその通りでしょう。しかし、ほとんどの場合、紹介は弱かったりまあまあだったりします。 例えば以前に1, 2度会ったくらいの人が紹介してくれたからといって、私にとってそれが良い紹介ではなかったりします。それならむしろ、会ったことない人にコールド・メール(飛び込みの売り込みメール)を送るほうがはるかに良いかもしれません。もっと言えば、むしろその人の紹介を受けることでネガティブな印象を受けてしまうような場合もあります。反対に、すぐに会いたくなるような紹介として、仲間の投資家によるものがあります。 問題は、起業家はそういった投資家同士の相互的な繋がりがどこに存在しているか知らないことです。あなたの紹介者もまたどういった繋がりに属しているのかわかっていないでしょう。

あなたにできるベストのことは、親しい人から紹介(リンクを参照)をしてもらえるようにすることですが、同時にコールド・メールも送りましょう。投資家に突然メールをしても、印象が傷つくことはないでしょう。 誰かにメールを2回送っても奇妙なことはありません。 私はもし3回メールされても、おそらく気付かないと思います。

投資家にコールド・メールを送るのであれば、会社の事業に関わらず、ミーティングの時間を確定しようとするのに十分なほど魅力的なメールでなければいけません。事業のコンテクストを説明せずに、ただ「15分時間をくれないか」と尋ねてしまえば、すぐにアーカイブされるのがオチでしょう。

なぜでしょうか。電話のための15分であろうと、それは1000分にも値するのです。これは嘘でなく、私たち投資家は他の多くの起業家にも同時にそういったお願いをされているのです。

3) あなたの構造化されたあらゆる時間を最大限に活用する

どんなに短い時間だろうと、いったん具体的なミーティングの時間を持てたら、その時間に適したピッチをしなければいけません。私の初めて会う人との体系的な会議のほとんどは20分です。 これはかなり短いので、多くの人々がそれより長いミーティングにしようと交渉してきます。例えどんなに時間があっても、その決められた時間枠に合うピッチをする必要があります。以下の時間枠のためのピッチをそれぞれ用意しておく必要があります。

  • 30秒
  • 5分
  • 20分
  • 45分

それぞれの時間枠ごとにその目的は明らかに大きく異なるでしょう。30秒のピッチで資金調達はできません。30秒ピッチは、より長いピッチを行うに値するかどうか投資家が判断するためのものです。

同様に、私は20分間の会話を出発地点として好んでいます。なぜなら20分間という時間は、起業家を簡潔にかつダイレクトにまとめるのに十分な時間だからです。

  • チームのバックグラウンド/ミッション/なぜ彼らがその事業を行うのか
  • 彼らが解決している問題
  • 簡潔なソリューションと差別化ポイントの説明
  • 注目すべきKPI
  • 高レベルなユニットメトリックス
  • その他

私がこれまでに出会った中でも最も素晴らしい起業家は、20分で上記の内容をすべてカバーすることができ、それでもまだ時間に余裕が残っていました。 その起業家はなにが重要なのか非常によく考え、確実にそれらの全ての要点をカバーしているということです。長くて無意味な脱線をすることなく、全ての要点を確実にカバーしていました。

つまり、会話のペースを適宜調整して話す必要があるということです。20分のミーティングでチームについての話だけで10分間使ってしまった場合、良いピッチミーティングとは言えません。 割り当てられた時間に関わらず、投資家が把握したいすべての事柄、つまり投資家が次のステップに進めたいと考えるのに必要な全ての情報をカバーできるように、会話を進める必要があります。最初のミーティングが十分に魅力的で、すべてをカバーしなければ、投資家に次の約束をさせることはできないでしょう。その次のステップに進めるために、魅力的なものすべてを確実にカバーすることが、起業家であるあなたの仕事でしょう。

ミーティングが終わるまでに、具体的に次のステップが何か把握しておくべきでしょう。次のステップがわからなければ、きちんと聞き、進めるようにしましょう。

 


資金調達は不透明でよく分からないプロセスですが、私は透明性を高めていくことを目指しています。資金調達に関して、より多くの秘訣やポイントを知りたいという方は是非私のニュースレターをフォローしてください

原文記事

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吉澤美弥子

慶應義塾大学看護医療学部卒業。在学中に海外のヘルステック企業やデジタルヘルス企業に関して取り上げる、HealthTechNewsを立ち上げ、2016年売却。外資系証券会社の株式リサーチ部で、TMT市場に関わる調査アシスタントなどを経て、500 Startups Japanに参画。

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