VC Dilemma

ベンチャー・キャピタリストのジレンマ:VCはどういった会社に多くの時間を費やすべきなのか?

ベンチャーキャピタリストが決めなければならないことの一つに、どの会社に多くの時間を費やすかということがあります。VCは「自分の子供たちを分け隔てなく平等に愛している」と言い張るかもしれませんが、どこの親もそうであるように、多少のえこひいきは仕方のないものです。人間なので、ついつい相性の良いファウンダーのほうに、あるいは他のポートフォリオ企業と比べてよりワクワクするようなコンセプトのほうに自然と引き寄せられがちです。

しかし、より一層重視するのは、会社の調子が良いかどうかです。単純化しすぎかもしれませんが、会社は大まかに分類すると次の3種類に分けることができます。

  • Greatな会社:ロケット並みの急成長を遂げている。市場優位性を勝ち取る道筋がはっきり見えている。追加投資をしっかり行ってしがみついていけば良い。
  • Goodな会社:おおむね順調である。すべての問題が解決できている訳ではないが、着実に前進している。
  • Badな会社:何をやってもうまくいかない状態になってしまっている。創業者間の不仲、熾烈な競争、突然の規制変更など、おそらく何かがズレている。

Greatな会社に時間を費やすことは容易です。すべての問題が解決されているように感じるからです。ベンチャーキャピタルのリターンもべき乗則に従い、最も成功した数社がほとんどの利益を生み出すことになります。その観点から、ほとんどの時間をGreatな会社に費やすことは合理的である、とあなたは結論付けるかもしれません。

しかし、必ずしもそうであるとは限りません。ベンチャー・キャピタリストは、投資資金とは別に自らが提供した「付加価値」を自慢しがちですが、実際のところ、優秀な企業はVCが何をしても(もしくはしなくても)おそらく上手くいくのです。ファウンダーらはすでに、成功への道筋を思い描けているので、あなたの支援などなくても前進できています。時間を費やしたところで、それが投資資金のリターンに影響することはほとんどないかもしれません。

別のアプローチとして、VCがBadな会社に全ての時間を費やす、という方法もあります。確かに、彼らはあなたの助けを渇望していることでしょう。修正すべきことは山ほどあるのですから!もしかしたらあなたの力でGreatな会社に転換させてしまうこともできるかもしれません!

なかなか魅惑的な考え方ですが、見込みの薄い、またはベストではない時間の使い方になる可能性が高いです。Badな会社からGreatな会社へ飛躍することは、想像以上に難しいものです。決して不可能だとは言いませんが、相当に苦しい戦いになることは確かです。例え上手くいったとしても、Badな会社がGoodな会社にはなれても、Greatな会社になることは稀かもしれません。

ということで、VCにとって最善の時間の過ごし方とは、Goodな会社をGreatな会社に成長させるお手伝いをすることではないかと私は考えています。このような会社はちょうど中間点にさしかかっていて、優秀なチームがいてもトラクションが少なく、どうすれば急成長できるのかを悩んでいます。要となる優秀な人材を探す支援であったり、最初の大口顧客との契約のクロージングだったり、次のラウンドで資金調達する支援だったりを必要としているかもしれません。何であれ、彼らに時間を費やして、彼らをGreatな会社へと変貌させるお手伝いができることは価値あることです。なぜならば、Greatな会社というステータスをいったん手に入れることができれば、ファウンダーと投資家の双方にとって十分なメリットになるからです。

もちろん他にも検討すべきダイナミクスが当然あるので、これは投資家にとってそう簡単に決められるものではありません。Greatな会社に時間を注げば、リターンへの影響がたとえ少なくても、ファウンダーが成功した暁に公の場でVCに謝意を述べてくれる可能性があります。そうすれば、より多くのファウンダーを引き寄せることができます。逆に、Badな会社をなおざりにしてしまうと、軽んじられたと感じた彼らがあなたのことを悪く言うかもしれません。そうすると、ファウンダーを遠ざけることになります。

私自身の時間配分は、Greatな会社に20%、Goodな会社に70%、Badな会社に10%とだいたい決めています。注意しなくてはならないのは、会社の分類は変わっていくという点です。会社のステータスはしょっちゅう変わるものです。また、私たち500 Japanが投資するシードステージで、すぐさまGreatになる会社はほとんどありません。会社はGreatというステージに辿り着くまでに、多くの支援を必要としています。そのため、私たち500 Japanの仕事の大部分は、投資から18ヶ月以内に行われます。そして、その期間が終了する頃には、「子供の成長って本当に早いな」という感慨深い思いを胸に抱きながら、サッカーの試合で頑張っている我が子をスタンドから見守る親のようになれれば、と思っています。

James Riney

Managing Partner & Head, 500 Startups Japan

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