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シリコンバレーを定期的に訪れる理由

シリコンバレーは年に数回訪れるようにしています。シリコンバレーの企業に投資している訳ではなく、シリコンバレーに大口投資家がいる訳でもありません。では、なぜ訪れるの?とよく聞かれます。自分なりに幾つかの答えを考えてみました。

1つ目は、最新の動向に乗り遅れないようにするためです。シリコンバレーで話題になっていることを感じるために、シリコンバレーの方々とキャッチアップするようにしています。次のブームは電動スクーターのシェアリングだ、とTechCrunchで読むのと、実際に電動スクーターを利用したりそうしたスタートアップに投資した方々と話をするのとではだいぶ違います。現地の方々と話をすると、まだ記事にされていない事や今後も記事にならないような事が耳に入ってきます。特定のスタートアップの実情を知ったり、誰がどのディールにどんな理由で投資しなかったのかを知ることができます。ただのゴシップだと思われがちですが、そこから得る学びもあるのです。こうした刺激を元に、これから注目すべきことや、類似のモデルが日本でうまくいくのかを検討しています。

2つ目の理由は、物事のとらえ方を柔軟にしておくためです。自分の世界に浸りきっていると周辺視野を失います。似たような意見を何度も繰り返し聞いているうちに、普段交流する人たち固有のバイアスがかかっていることを忘れてしまいます。自分にとって当たり前のことが、異なるマーケットの人にとって当たり前だとは限りません。異なるマーケットの方々と話す度に、自分が硬く信じていたことは本当なのか?と考え直すきっかけになります。

3つ目の理由は、謙虚でいられるからです。500 Startups Japanが2年間かけて日本で築いた評判には自信を持っています。幸いなことに、スタートアップ界隈の方々に私たちの存在や活動内容を知ってもらえるところまで来ました。しかし、シリコンバレーを訪れると、私たち日本ファンドの存在を知っている人がほとんどいないばかりか、関心すら持たれません。そのため、ここに来ると再びピッチをしている自分がいます。しかも、500 Startups Japanのことだけではなく日本のことも自らピッチしなければなりません。日本が有望なスタートアップ市場であることを一から説明しなければならないのです。例えば、日本でメルカリを知らない者はいないし、日本のスタートアップ史上最大のイグジットの一つでもあるのに、シリコンバレーでメルカリの名前を聞いたことがある人なんてほとんどいません。彼らにとって、日本というよりもシリコンバレーの外は、遥か遠い彼方なのです。シリコンバレー自体が一つのバブルを形成しています。そして、彼らにとって幸いなことに、このバブルによってシリコンバレー外の人たちにもその名声が広まっています。彼らはまさしくレジェンドなのです。

この記事は、こうしたレジェンドのいくつかに投資したことのあるLP候補の方とお会いした後に書いています。私は彼をとてもリスペクトしているんですが、そんな彼に「メルカリ?」と聞かれてしまいました。このような会話を交わすと、日本は大きく前進したけど道のりはまだまだ遠いな、ということを思い知らされます。日本を無視できない存在に成長させなければなりません。スコアボードにもう何本かのヒットを表示させましょう!

James Riney

Managing Partner & Head, 500 Startups Japan

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