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投資家に「ノー」と言われることが好ましい理由

どの起業家にとっても、資金調達はまるで大きなブラックホールのようなものです。時間だけでなく、集中力までもを奪われてしまうからです。本来であれば事業の成長に注ぐべきあなたの貴重なエネルギーは、自分に出資して欲しいと説得して回ることに使われてしまいます。クロージングもまるで綱渡りで、投資家の要求をうまくバランスしながら反対側までなんとか渡りきる、というアクロバティックなプロセスになりがちです。しかし、これは言うまでもなく必要悪です。成長には資金が必要不可欠。しかし、それはあなたとあなたの会社にとってものすごい負担になります。だからこそ、500 Japanの起業家のみなさんには、フルタイムで資金調達モードでいる時間を最小限に留めるようアドバイスしています。

そのためにも、資金調達プロセスの途中で「ノー」と言われることは、必要かつ歓迎すべき事です。「ノー」と言われることを恐れる起業家が多すぎるように感じています。しかし、返答がないよりは、「ノー」と言われるほうがよっぽどマシです。「ノー」は決定的だからこそ前に進むことができます。「ノー」は、微調整をして今後前進する方法を考えるためのデータポイントです。

投資家がはっきり答えないときは、投資する選択肢を残しておきたいからという可能性が90%くらいあります。「イエス」と言う自信はないけど、「ノー」と言う自信もない。だからこそ、宙ぶらりんにしておくのです。

資金集めをしている者として、投資家に返事をさせることがあなたの仕事になります。頻繁にフォローアップしましょう。「次のステップを教えてください」や「具体的にどのような懸念事項があるのでしょうか」などの、具体的な質問をしましょう。多くの場合、社内に正式な承認プロセスがあるので、あなたもそのプロセスを理解しておく必要があります。もしも彼らが事業のスケーラビリティやチームの耐久性といった個別具体的な懸念を持っているのであれば、それらに対応する必要があります。そして、それら全てに対応したあとは、タイムラインを提示しなければなりません。「月末には次のステップに進みます。僕らと一緒に来ますか?来ませんか?」。率直であることを恐れてはいけません。礼儀正しければ、怒る人などいないはずです。ただ、注意しなければならないのは、非現実的なスケジュールを提示しないことです。なぜならば、彼らが参加できないタイミングでクローズするはずだったラウンドに、結果的には頭を下げて両手を広げて参加してください、とお願いすることになるようなこともあるからです。これでゲームオーバーになることはないけれど、印象はよくありません。

もう一つ考えなければならない要素は、資金調達プロセスが長引いているいことは、投資家たちに良くない印象を与えてしまうということです。その理由がまっとうであっても大して関係ありません。投資家は経験則に基づいて判断しがちです。例えば、早い段階でラウンドをクローズする会社はイケている、そうでない会社はイマイチ、といったように。あなたは後者だと思われたくはないはずです。投資家の飲み会で「あの会社は資金調達に苦労しているらしいね」などと話題にされることは、何としても避けたいでしょう。一旦そうなってしまうと、「ダメな会社」というオーラが漂い、資金調達では負のスパイラルに陥ってしまいます。投資家らは、お互いに情報交換をしていますし、お互いの感覚に影響を受けがちです。そのような評判が立ってしまうと、自分の望む条件でラウンドをクローズすることがとても難しくなります。フェアではないかもしれませんが、それが現実なのです。

私自身は、資金調達ではスピードが全てであり、「ノー」は好ましいことだと思っています。できるだけ早い段階で「ノー」と言ってもらえれば、投資家と話したり投資家のための対策を練る必要がなくなります。一区切りがつくことで、次の投資家にお願いをし始めたり、その他の会社が存続するためのオプションを検討できたりするようになります。「ノー」は良いことなのです。それを真摯に受け止めましょう。

James Riney

Managing Partner & Head, 500 Startups Japan

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